重症患者における人工呼吸器関連肺炎に対する予防的介入の有効性:メタアナリシスのアンブレラレビュー
Efficacy of preventive interventions against ventilator-associated pneumonia in critically ill patients: an umbrella review of meta-analyses D. Zhu*, Q. Zhao, S. Guo, L. Bai, S. Yang, Y. Zhao, Y. Xu, X. Zhou *Jiangsu Province Hospital of Chinese Medicine, China Journal of Hospital Infection (2024) 145, 174-186
多数のメタアナリシスで、重症患者における人工呼吸器関連肺炎(VAP)に対する予防的介入の有効性が評価されている。しかしながら、エビデンスの強さと質の包括的な解析はこれまでに実施されていない。機械的換気を 48 時間以上受けている重症患者における VAP の発生率に対する予防戦略の効果を評価した、ランダム化および準ランダム化対照試験のシステマティックレビューを、本研究の対象とした。31 件の試験から合計 34 種類の介入が特定された。これらの介入のうち、19 種類が VAP 発生率を有意に低下させた。多数ある戦略の中で、選択的消化管除菌のみが、highly suggestive な(クラス II)エビデンスによって支持された(リスク比[RR]= 0.439、95%CI 0.362 ~ 0.532)。感度分析のデータに基づき、機械的換気から離脱する際の非侵襲的換気の有効性に関するエビデンスが、weak(クラス IV)から highly suggestive(クラス II)に格上げされた(RR = 0.32、95%CI 0.22 ~ 0.46)。いずれの予防的介入も、死亡率の低下に関して、確かな証拠による支持は得られなかった。早期離床は、集中治療室(ICU)滞在期間の短縮(平均差[MD]=-0.85、95%CI -1.21 ~ -0.49)および機械的換気期間の短縮(MD=-1.02、95%CI -1.41 ~ -0.63)の両方について、suggestive な(クラス III)エビデンスを示した。結論として、選択的消化管除菌および非侵襲的換気は、VAP の予防について確かな証拠によって支持されている一方、早期離床は、ICU 滞在期間および機械的換気期間を有意に短縮させることが示されている。重症患者の VAP のリスクを低減し、予後を改善するために、これら 3 つの戦略を人工呼吸器バンドルに組み込むことが勧められる。
監訳者コメント:
19 種類の介入が VAP 発生率を有意に低下させたという。介入の組み合わせは、ケースバイケースなのであろうがフローチャートのように図式化し効率よく感染率を低減できると素晴らしい。
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