経直腸的前立腺生検における短期の抗菌薬予防投与の様々なレジメンの比較★

2024.03.31

Comparison of different regimens of short-term antibiotic prophylaxis in transrectal prostate biopsy

E. Krsakova*, A. Cermak, M. Fedorko
*University Hospital Brno, Czechia

Journal of Hospital Infection (2024) 145, 83-87



背景

前立腺癌は、70 歳を超える男性で最もよく見られる悪性の固形腫瘍であり、腫瘍学的な状況からの死亡で、2 番目によく見られる原因である。

目的

経直腸的前立腺生検における感染性合併症の発生に対する短期の抗菌薬予防投与の様々なレジメンの効果を評価すること。

方法

2021 年 1 月から 2022 年 12 月の間に経直腸的超音波ガイド下前立腺生検を受けた患者を、前向き無作為化試験に組み入れた。患者は、予防投与のレジメンによって、次の 3 群に無作為化された。(1)ホスホマイシン・トロメタモール 3 g を処置の 3 時間前+シプロフロキサシン 500 mgを処置の 2 時間前、(2)ホスホマイシン・トロメタモール 3 g を処置の 3 時間前と処置の 24 時間後、(3)シプロフロキサシン 500 mg を処置の 12 時間前と 2 時間前、および処置の 12 時間後。直腸スワブを、前立腺生検の 1 ~ 2 週間前に実施し、培養結果を評価した。前立腺生検から 1 か月以内の追跡調査の受診中に、合併症を評価した。

結果

モニターした期間中、605 件の前立腺生検が実施され、544 例の患者が組み入れ基準を満たした(1、2、3 群に、それぞれ、184、161、199 例)。感染性合併症は、10 例(1.83%)に起こり、患者群では、それぞれ、3、4、3 例であった。群間に統計的に有意な差はなかった。患者は誰も入院を必要とせず、敗血症の症状もなかった。

結論

前立腺生検において、ホスホマイシン・トロメタモール、シプロフロキサシン、またはその組み合わせを使った短期の抗菌薬予防投与は、有効であるように見える。ホスホマイシン・トロメタモールは、フルオロキノロン系抗菌薬に代わるものとして適している。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

前立腺生検後の感染症は、本論文では約 1.8%であるが、過去の報告では0 ~ 6.3%とされ、日本では 1%前後との報告である。起炎菌としては ESBL を含む大腸菌が大半を占めるが、近年キノロン耐性大腸菌が増えており、代替の予防投与薬が必要とされている。ホスホマイシン・トロメタモールは細胞壁合成阻害作用があり、かつ細菌の膀胱粘膜への接着を低下させる作用があるが、現在日本では販売されていない。ホスホマイシン・Ca(経口薬)または Na 塩(注射薬)が国内では使用できるが、薬物動態が異なるため使用時には注意が必要である。ちなみに、経口投与後の最高血中濃度は、後者は前者の 1/4 程度、バイオアベイラビリティも前者の 42.3%に対して、後者は 12%と報告されている(Infection. 1990;18 Suppl 2:S65-9.)。

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