サハラ以南のアフリカの病院に入院した成人における敗血症の罹患率と死亡率:システマティックレビューおよびメタアナリシス
Prevalence and mortality rate of sepsis among adults admitted to hospitals in sub-Saharan Africa: a systematic review and meta-analysis G.T. Kiya*, Z. Mekonnen, T. Melaku, E. Tegene, E.K. Gudina, P. Cools, G. Abebe *Jimma University, Ethiopia Journal of Hospital Infection (2024) 144, 1-13
病原体の多様性が豊富であり、抗菌薬耐性が増加しているために、敗血症は、サハラ以南のアフリカの方がよく見られる。しかし、この地域における成人の敗血症罹患率について、一貫した報告はない。したがって、この研究は、サハラ以南のアフリカの病院に入院した成人における敗血症の罹患率とそれに関連した死亡率を、統合したデータから推定することを目的とした。2023 年 2 月 13 日より前に発表されたサハラ以南のアフリカの敗血症についての研究を、Medline(PubMed 経由で)、Scopus、Embase、Web of Scienceを系統立てて検索した。敗血症の病院全体での罹患率と集中治療室(ICU)に基づいた罹患率の変量効果メタアナリシスを、95%信頼区間(CI)で実施した。地理的地域と敗血症の診断基準について考慮したサブグループ解析を実施した。ファンネルプロットと Egger の検定を使い、出版バイアスを評価した。プロトコールを、Prospective Register for Systematic Reviews(PROSPERO)に提出した(識別子、CRD42023396719)。全体で、サハラ以南のアフリカの 8 か国から 2009 年と 2022 年の間に発表された 14 件の観察研究がレビューに組み入れられた。31,653 例の成人患者(5,723 例が敗血症)で構成されていた。病院全体で実施された 9 件の研究では、統合した罹患率と死亡率は、それぞれ、17%(95%CI:12 ~ 21%)と 15%(95%CI:17 ~ 35%)であることが示された。ICU での 5 件の研究では、統合した罹患率と死亡率が、それぞれ、31%(95%CI:24 ~ 38%)と 46%(95%CI:39 ~ 54%)であった。サブグループ解析に基づくと、病院全体での敗血症の罹患率は、東部アフリカと南部アフリカでそれぞれ統合した値が、18%(95%CI:11 ~ 25%)と 20%(95%CI:2 ~ 42%)であった。ICU での罹患率は、東部アフリカと南部アフリカでそれぞれ統合した値が、14%(95%CI:4 ~ 23%)と13%(95%CI:5 ~ 20%)であった。病院全体でのおよび ICU に基づいた敗血症の罹患率と死亡率は、サハラ以南のアフリカで高かった。成人の敗血症の負荷に取り組むことが、サハラ以南のアフリカの医療システムで優先されるべきである。
監訳者コメント:
サハラ以南のアフリカの病院に入院した成人における敗血症の罹患率と、それに関連した死亡率についてまとめた研究である。サハラ以南ではよく見られることは知られていても、論文ベースでその頻度を科学的に解析した論文であり興味深い。
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