入院時に非人工呼吸器関連肺炎のリスクが高い患者を特定する:予防的措置を開始するための実用的予後予測スクリーニングツール★
Identifying patients at increased risk of non-ventilator-associated pneumonia on admission to hospital: a pragmatic prognostic screening tool to trigger preventative action J. Wilson*, H. Griffin, A. Görzig, J. Prieto, K. Saeed, M.I. Garvey, E. Holden, A. Tingle, H. Loveday *University of West London, UK Journal of Hospital Infection (2023) 142, 49-57
背景
非人工呼吸器医療関連肺炎(Non-ventilator healthcare-associated pneumonia)(NV-HAP)は、重要な医療関連感染症である。本研究では、ルーチンの入院時データを使用して、NV-HAP のリスクが高く、対象を絞った予防的介入でベネフィットを得る可能性のある患者を特定することの実施可能性を検証した。
方法
高齢者ケア病棟に入院後 5 日以降に NV-HAP を発症した 64 歳以上の患者を、後向きの症例記録のレビューにより、マッチさせた対照者とともに特定した。NV-HAP の予測因子候補に関するデータを、入院記録から取得した。多変量解析を用いて、予後予測スクリーニングツール(PRHAP)を構築し、同ツールの許容性および実施可能性について評価した。
結果
合計で症例患者 382 例および対照患者 381 例を本解析に組み入れた。予測因子 10 個を最終モデルに組み込み、9 個は NV-HAP のリスクを高め(オッズ比[OR]1.68 ~ 2.42)、1 個(自立的な移動性)は保護作用が認められた(OR 0.48、95%信頼区間[CI]0.30 ~ 0.75)。本モデルは、NV-HAP を有する患者および有さない患者の 68%で正確に予測し、感度は 77%、特異度は 61%であった。本 PRHAP ツールのリスクスコアは、2 個の予測因子が認められる場合は 60% 以上、3 個の予測因子が認められる場合は 70% 以上であった。専門家のコンセンサスグループは、NV-HAP のリスクを有する患者を特定し、予防的戦略の対象を絞るための効率的なメカニズムとして、本 PRHAP ツールを電子論理システム(electronic logic systems)に組み込むことを支持した。
結論
本予後予測スクリーニング(PRHAP)ツールは、患者が入院する際にルーチンで収集されるデータに適用されて、NV-HAP のリスクが極めて高い患者を特定すること、予防的ケアバンドルの実施を目的として不足する資源の対象を絞ること、ならびに抗菌薬の使用を減らすことを、医療スタッフに可能とすると考えられる。
監訳者コメント:
英国からの報告。医療関連肺炎(HAP)は、最も一般的な医療関連感染症(HCAI)であり、高齢患者で最もリスクが高い HCAI の約 23%を占めている。うち、人工呼吸器に関連しない医療関連肺炎(NV-HAP)が 4 分の 3 を占めているが、これらの予防を対象とした活動が不足している。この研究は入院データに基づいた予後スクリーニング(PRHAP)ツールを用いた NV-HAP リスクを予測するモデルで、他にも似たような予測モデルがあったが、実用性に欠けていた。このモデルで、NV-HAP 予防ケアバンドルを導入する際に、最もリスクの高い患者を特定し、希少なリソースをターゲットにすることができる可能性がある。NV-HAP の予防により、抗菌薬の使用を減少させ、薬剤耐性の低下につなげることができる。
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