カルバペネマーゼ産生腸内細菌目細菌のスクリーニングは誰がいつ受けるべきか?システマティックレビュー

2023.12.31

Who should be screened for carbapenemase-producing Enterobacterales and when? A systematic review

M. Bar Ilan*, A. Kjerulf
*Rigshospitalet, Denmark

Journal of Hospital Infection (2023) 142, 74-87



カルバペネマーゼ産生腸内細菌目細菌(CPE)症例はデンマークで毎年増加しており、渡航歴のある CPE 陽性例の割合は低下している。いくつかの疫学的関連から、デンマークの医療環境内での伝播が示されており、感染予防・制御の課題が指摘され、デンマークの CPE スクリーニングプロトコールに疑問が投げかけられている。本レビューの目的は、デンマークの CPE 陽性患者を検出し、それによって伝播およびアウトブレイクのリスクを低下させるために、デンマークの CPE スクリーニングプロトコールに記載されたリスク因子とは別のリスク因子を特定することであった。2022 年 3 月に、PubMed、Embase および Cochrane Library において、系統的な文献検索を行った。計 1,487 報の論文をスクリーニングし、19 報の研究を組み入れた。CPE(保菌および/または感染)が検査で確定した患者と、関連するリスク因子を検討した研究を取り出した。抗菌薬治療(特に広域抗菌薬)、ICU に約 1週間およびそれ以外の病棟に 20 ~ 28 日間の入院歴があるまたは入院中であること、海外での入院を伴うまたは伴わない渡航歴が、CPE 感染に関連する有意なリスク因子であった。併存疾患および侵襲的処置がリスク因子として特定されたが、CPE 感染のリスクに関連する具体的な併存疾患または侵襲的処置は特定されなかった。本研究から、デンマークでは CPE スクリーニングについて追加のアルゴリズムを作成する必要があることが示唆される。入院時のリスクに基づくスクリーニングに加えて、入院患者のスクリーニングを検討すべきである。スクリーニングプロトコールには、ICU に 1 週間を超えてまたはそれ以外の病棟に 3 週間を超えて入院しており、抗菌薬治療を受けたことがあるか現在受けている、併存疾患を有する入院患者のスクリーニングを含めることが考えられる。新たな CPE スクリーニングアルゴリズムを作成するためには、さらなる研究が必要である。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント


実際のところ、地域的、時間的な要因に加え CPE の感染のリスクが高ければ検査を実施すべきであろう。病院の部署のリスクが多く要因を持つことは言うまでもない。

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