手洗い用石けんがカルバペネマーゼ産生および非産生腸内細菌目細菌の個体群動態に与える影響の評価★

2020.08.31
☆

Assessing the impact of handwashing soaps on the population dynamics of carbapenemase-producing and non-carbapenemase-producing Enterobacterales
M.A. Boyle*, A.D. Kearney, B. Sawant, H. Humphreys
*Royal College of Surgeons in Ireland, Ireland
Journal of Hospital Infection (2020) 105, 678-681


カルバペネマーゼ産生菌は手洗いシンクに残留し、耐性菌の環境リザーバーとなっている。本研究では手洗い用石けんがカルバペネマーゼ産生腸内細菌目細菌(CPE)および非産生腸内細菌目細菌の個体群動態に与える影響を評価した。多くの分離菌は医療用に市販されている 2 つの手洗い用石けんの有無にかかわらず最少培地で増殖した。石けん A は大腸菌(Escherichia coli)を除くすべての分離菌を増殖させた。石けん B は増殖を引き起こさなかった。処方間の主な違いは、石けん B が防腐剤および増感剤である DMDM ヒダントインを含有していることであった。これらの結果は、CPE が石けんを用いた一般的な手洗いによって環境内で残存し、維持されている可能性があることを示しているが、さらなる研究が必要である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
腸内細菌目細菌には、大腸菌、赤痢菌、サルモネラ属、セラチア属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、シトロバクター属などが入り、なかでもカルバペネマーゼを産生する耐性菌(CPE)としては、大腸菌、エンテロバクター属、クレブシエラ属が主である。これらの耐性菌の環境での生存は、医療従事者の手指あるいは医療器材を介した院内感染の原因となる。過去の報告では蛋白含有量の多い石けんでは肺炎桿菌は、手洗いシンクのドレインパイプで増殖し、バイオフィルムを形成する。本論文では実験結果から、DMDM ヒダントインが CPE のシンクでの残存を妨げている可能性を考察しているが、本剤は手荒れの原因ともなるため、慎重な対応が必要となる。手洗い用石けんの含有成分により CPE の手洗いシンクおよび排水ドレインでの耐性菌の生存に影響する可能性があり、今後手洗い製剤の選択にも注意が必要であることを示唆している。

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*Leiden University Medical Center, the Netherlands

Journal of Hospital Infection (2022) 120, 90-97