SARS-CoV-2ゲノムシークエンシングの組み込みが病院内の院内伝播の感染予防・制御調査に及ぼすコスト面の影響を評価する

2023.09.30

Evaluating the cost implications of integrating SARS-CoV-2 genome sequencing for infection prevention and control investigation of nosocomial transmission within hospitals

M. Panca*, J. Blackstone, O. Stirrup, M.-T. Cutino-Moguel, E. Thomson, C. Peters, L.B. Snell, G. Nebbia, A. Holmes, A. Chawla, N. Machin, Y. Taha, T. Mahungu, T. Saluja, T.I. de Silva, K. Saeed, C. Pope, G.Y. Shin, R. Williams, A. Darby, D.L. Smith, M. Loose, S.C. Robson, K. Laing, D.G. Partridge, J.R. Price, J. Breuer
*Institute of Clinical Trials and Methodology, UCL, UK

Journal of Hospital Infection (2023) 139, 23-32


背景

COG-UK hospital-onset COVID-19 infection(COG-UK HOCI)試験において、SARS-CoV-2 全ゲノムシークエンシング(WGS)が病院内の院内伝播の急性感染予防・制御(IPC)調査に及ぼす影響を評価した。

目的

IPC 実践における院内感染の可能性の判定に、配列報告ツール(SRT)による情報を用いた場合のコスト面の影響を推定すること。

方法

SARS-CoV-2 WGS に関するマイクロコスティング法を実施した。IPC 管理の資源利用とコストに関するデータを、参加した14施設の IPC チームの面接により収集し、これらのデータを用いて、試験で収集された IPC 活動にコスト推定値を割り当てた。活動には、医療関連感染(HAI)またはアウトブレイクが疑われた後の IPC 特有の活動と、SRT によるデータ返却後の実践の変更が含まれた。

結果

SARS-CoV-2 シークエンシングの 1検体あたりの平均コストは、迅速期(感染判明後 24 ~ 48 時間以内に結果報告)には77.10ポンド、所要時間延長期(感染判明後 5 ~ 10 日以内に結果報告)には 66.94 ポンドと推定された。3 か月の介入期間に、全施設における IPC の定義による HAI およびアウトブレイク事象に対する総管理コストは、それぞれ 225,070 ポンドおよび 416,447 ポンドと推定された。主なコストドライバーは、アウトブレイクによる病棟閉鎖に起因する病床日数損失であり、次いでアウトブレイクミーティング、接触者隔離に起因する病床日数損失であった。SRT を実施すると、HAI のコストは未同定の症例のために 5,178 ポンド増加し、アウトブレイクのコストは、SRT により院内アウトブレイクが除外されたために 11,246 ポンド減少した。

結論

SARS-CoV-2 WGS により IPC 管理コストの総額は増加するが、提供される追加情報により、特定された設計の改善および効果的な展開に応じて、追加コストは相殺される可能性がある。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント


院内感染対策においては、しばしば「あの人の病原体と、この人の病原体が同一のものかどうか分かればいいのに」ということが問題になる。本研究は SARS-CoV-2 の全ゲノムシークエンシングによって費用が増加するものの、院内感染が減少することによってその費用が相殺される可能性があるというものである。

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