低所得国および下位中所得国の病院における医療従事者対象の抗菌薬適正使用支援介入の有用性:システマティックレビューのスコーピングレビュー

2023.01.06

Utility of healthcare-worker-targeted antimicrobial stewardship interventions in hospitals of low- and lower-middle-income countries: a scoping review of systematic reviews

T. Wade*, N. Roberts, J-W. Ban, W. Waweru-Siika, H. Winston, V. Williams, C.J. Heneghan, I.J. Onakpoya
*University of Oxford, UK

Journal of Hospital Infection (2023) 131, 43-53


背景

病院における抗菌薬適正使用支援イニシアチブは、抗菌薬のサーベイランスおよび標的を見直すために、クラスター化された介入要素の実施を含むことが多い。しかし、抗菌薬適正使用支援介入の個々の要素の影響は、とくに低所得国および下位中所得国では十分に知られていない。

目的

低所得国および下位中所得国の一般病院で実施された医療従事者対象の抗菌薬適正使用支援介入(それらの国に適切と思われる)の要素の影響に関するシステマティックレビューのエビデンスを要約するために、スコーピングレビューを実施した。

方法

主要なデータベースを用いて、病院で評価された抗菌薬適正使用支援介入のシステマティックレビューを系統的に検索した。適格とするシステマティックレビューは、Effective Practice and Organisation of Care 分類法に基づき、分類が可能な少なくとも 1 つの介入に関して報告されていることとした。臨床およびプロセスの結果を検討した。追加情報を得るために低所得国および下位中所得国の初期研究を調べた。

結果

介入要素の評価のシステマティックレビュー 18 報が選択基準を満たした。エビデンスから、病院における監査とフィードバック、臨床実践ガイドラインが、いくつかの臨床およびプロセスの結果を改善することが示された。介入の予期せぬ結果は、抗菌薬使用の増加であった。独自の研究は累計 547 報であったが、低所得国および下位中所得国の病院で実施されたのは 2%(12 報)のみであった。低所得国および下位中所得国の 2 報の研究で、病院におけるガイドラインと教育会議が有効であると報告された。

結論

高所得国および上位中所得国では、監査とフィードバック、臨床実践ガイドラインが、病院のさまざまな臨床およびプロセスの結果を改善する可能性があることをエビデンスは示唆している。低所得国および下位中所得国の施設では、エビデンスの欠如により確固たる結論が導けず、さらなる研究の必要性が浮き彫りにされた。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

低所得国および下位中所得国における抗菌薬適正使用支援活動のエビデンスに注目した論文。まだまだ研究そのものが少ないという結論。高所得国や上位中所得国では監査とフィードバック、臨床実践ガイドラインが有効であるということだが、おそらく低所得国および下位中所得国ではその有効性がより高いと考えられる。

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