ICU における個人間のカルバペネム耐性菌の伝播の拡散を減少させるための介入および接触ネットワークのモデリング
Modelling interventions and contact networks to reduce the spread of carbapenem-resistant organisms between individuals in the ICU D.A. Martínez*, J. Cai, G. Lin, K.E. Goodman, R. Paul, J. Lessler, S.R. Levin, M. Toerper, P.J. Simner, A.M. Milstone, E.Y. Klein, on behalf of the MInD-Healthcare *Pontificia Universidad Católica de Valparaíso, Chile Journal of Hospital Infection (2023) 136, 1-7
背景
病棟におけるカルバペネム耐性菌(CRO)の伝播を阻止するために、接触予防策が広く実施されている。しかし、自然な病院環境におけるそれらの有効性に関するエビデンスは限られている。
目的
CRO 感染または保菌のリスク上昇に関連する接触予防策、医療従事者・患者間の接触、患者および病棟の特徴を特定した。
デザイン、設定および参加者
2 つの緊急度の高い病棟から得た CRO 臨床およびサーベイランス培養を、感受性患者の病棟入院中の CRO 感染または保菌リスクを明らかにする確率モデリングにより評価した。使用者および時刻がスタンプされた電子カルテを用いて、患者間の医療従事者を介する接触ネットワークを構築した。確率モデルは、患者の特徴(抗菌薬投与など)および病棟の特徴(手指衛生の遵守、環境清掃など)について補正した。リスク因子の効果を、補正オッズ比(aOR)と95%ベイズ信用区間(CrI)により評価した。
曝露
CRO 陽性患者が接触予防策を実施しているか否かにより層別化した、CRO 陽性患者との接触の程度。
主要アウトカムおよび指標
CRO 保菌率および新規保菌者数(新規 CRO 感染者数)。
結果
病棟入院2,193 例中、126 例(5.8%)の患者に CRO の保菌または感染が認められた。感受性患者では、接触予防策を実施している CRO 陽性者と 1 日 4.8 回の接触があった(対して接触予防策を実施していない陽性者との接触 1.9 回)。CRO 陽性患者の接触予防策の実施は、感受性患者における CRO 感染の発生率の低下(1,000 リスク患者日あたり 7.4 対 93.5)およびオッズの低下(aOR 0.03、95%CrI 0.01 ~ 0.17)に関連しており、推定絶対リスク低下は 9.0%(95%CrI 7.6 ~ 9.2%)となった。また、感受性患者へのカルバペネム投与は、CRO 感染のオッズ上昇に関連した(aOR 2.38、95%CrI 1.70 ~ 3.29)。
結論および関連性
この集団ベースコホート研究では、CRO が保菌または感染した患者における接触予防策の実施が、抗菌薬曝露について補正後も、感受性患者における CRO 感染リスクの低下に関連した。これらの知見を確認するためには、細菌の遺伝子型判定を含めたさらなる研究が必要である。
監訳者コメント:
接触予防策が重要であることは言うまでもないが、いかに効果的に予防策を講ずるかが鍵を握る。
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