早産児の侵襲性真菌感染症は抗菌薬曝露と関連がある:多施設共同前向き症例対照研究
Invasive fungal infection is associated with antibiotic exposure in preterm infants: a multi-centre prospective case-control study S. Hou*, X. Wang, Y. Yu, H. Ji, X. Dong, J. Li, H. Li, H. He, Z. Li, Z. Yang, W. Chen, G. Yao, Y. Zhang, J. Zhang, M. Bi, S. Niu, G. Zhao, R. Zhu, G. Liu, Y. Jia, Y. Gao *Yantai Yuhuangding Hospital, China Journal of Hospital Infection (2023) 134, 43-49
背景
抗菌薬曝露歴は侵襲性真菌感染症の重要なリスク因子である。抗菌薬の過剰曝露が低所得国で多くみられるが、侵襲性真菌感染症を抗菌薬曝露と関連付けて検討した多施設共同研究は少ない。
目的
前向き多施設共同マッチド症例対照研究において、2018 年から 2021 年に中国の 23 カ所の 3 次病院に入院した超早産児または超低出生体重児を対象に、侵襲性真菌感染症と抗菌薬曝露の相関を検討した。
方法
在胎期間、出生体重、早発性敗血症(あり/なし)をマッチさせた 1:2 デザインを用いて、侵襲性真菌感染症と診断された乳児と、感染症のない対照児との間でリスク因子を比較した。抗菌薬使用率(AUR)は、侵襲性真菌感染症発症前 4 週間の抗菌薬治療の暦日数を侵襲性真菌感染症の発症日で除して算出した。
結果
全体で乳児 6,368 例を本研究に組み入れ、このうち 90 例(1.4%)が侵襲性真菌感染症と診断された。侵襲性真菌感染症の発症前 4 週間以内の AUR 中央値は 0.90、抗菌薬治療期間(LOT)の中央値は 18 日、抗菌薬治療日数(DOT)の中央値は 30 日であった。多変量解析により、AUR の10%上昇、DOT および LOT の 1 日増加、第 3 世代セファロスポリン系薬およびカルバペネム系薬の使用日数の 1 日増加が、侵襲性真菌感染症と顕著に関連することが示された。
結論
長期の抗菌薬治療が 侵襲性真菌感染症の発症前に行われていることが多く、特に第 3 世代セファロスポリン系薬およびカルバペネム系薬の使用は、重要なリスク因子である。中国などの低所得国における侵襲性真菌感染症を減少させるためには、早産児向けの抗菌薬適正使用支援を早急に構築し、促進すべきである。
監訳者コメント:
本研究で分離された真菌はC. albicansが 43.3%、C. parapsilosisが 30%である。早産児においても侵襲性真菌感染症のリスク因子は広域抗菌薬の使用であった(当然その使用に至る原因があるはずではあるが)。早産児における広域抗菌薬の適正使用と、使用中の侵襲性真菌感染症の発症に注意が必要である。
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