造血幹細胞および固形臓器の移植患者において SARS-CoV-2の感染力を評価するためのウイルス培養、サイクル閾値(Ct 値)およびウイルス量推定:システマティックレビュー★★

2023.02.23

Viral cultures, cycle threshold values and viral load estimation for assessing SARS-CoV-2 infectiousness in haematopoietic stem cell and solid organ transplant patients: a systematic review

T. Jefferson*, E.A. Spencer, J.M. Conly, E.C. Rosca, S. Maltoni, J. Brassey, I.J. Onakpoya, D.H. Evans, C.J. Heneghan, A. Plüddemann
*University of Oxford, UK

Journal of Hospital Infection (2023) 132, 62-72


背景

固形臓器移植および造血幹細胞移植のレシピエントは、免疫抑制のために非移植レシピエントと比べて重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2(SARS-CoV-2)に対して脆弱であり、特に病院環境において、継続的な伝播リスクをもたらす可能性がある。詳細な症例報告、例えば症状やウイルス量、ならびに培養により確認された複製能を有するウイルスの存在に基づく感染力を含めた症例報告は、臨床経過、重症度および感染性の間の関係を検討する機会を提供し、隔離の解除に関する指針を提供する。

目的

移植レシピエントにおいて、SARS-CoV-2 を標的とした連続的逆転写 PCR(RT-PCR)のサイクル閾値(Ct 値)または定量サイクル値、あるいはウイルス負荷量に関するその他の指標と、ウイルス培養に基づいた感染性ウイルスが存在する可能性および期間との関係について、また年齢、性別、基礎疾患、免疫抑制の程度および/またはワクチン接種がこの関係に及ぼす影響について検討すること。

方法

LitCovid、medRxiv、Google Scholar および World Health Organization COVID-19 データベースの検索を、2019 年 11 月 1 日から 2022 年 10 月 26 日に実施した。SARS-CoV-2 感染を有する移植レシピエントについて関連するデータ(連続的 RT-PCR 検査の結果、および同じ呼吸器サンプルから得られたウイルス培養データ)を報告している研究を、本システマティックレビューに組み入れた。方法論の質について 5 つの基準を用いて評価し、データを記述および図表によりまとめた。

結果

13 件の症例報告と症例シリーズからなる41 例の移植レシピエント(腎移植 22 例、心臓移植 5 例、骨髄移植 1 例、肝移植 2 例、両側肺移植 1 例、血液幹細胞移植 10 例)を、本レビューに組み入れた。ウイルス負荷量の代理指標と、複製能を有する SARS-CoV-2 排出の可能性との間に関連が認められた。3 例が、症状発症後 100 日超にわたり複製能を有する SARS-CoV-2 を排出していた。検査および報告のプラットフォームが標準化されていなかったため、ウイルス負荷量の最終的なカットオフ値を確立することができなかった。ただし、大部分の移植レシピエントでは、プラットフォームの違いにかかわらず、Ct 値>30 となった時点で複製能を有する SARS-CoV-2 の排出は止まっていた。

結論

ウイルス負荷量は、各患者の臨床状態を背景として考慮した場合、理にかなった感染性の代理指標である。標準化された研究デザインと報告が、増加していくエビデンスベースに基づいてガイダンスの標準化を行ううえで不可欠である。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

SARS-CoV-2 のウイルス培養は一般的な検査方法でなく、移植患者においては長期に感染可能なウイルス排泄が続くために、一律に隔離解除期間を決めることが困難である。代理指標として RT-PCR の Ct 値が参考となり、Ct 値が 30 を超えることが隔離解除の基準に使える可能性があるが、検査の標準化が必要である。

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