消化器内視鏡検査で用いられる軟性内視鏡の再処理後の微生物学的サーベイランス:全国調査★

2023.01.06

Microbiological surveillance post-reprocessing of flexible endoscopes used in digestive endoscopy: a national study

B. Casini*, A.M. Spagnolo, M. Sartini, B. Tuvo, M. Scarpaci, M. Barchitta, A. Pan, A. Agodi, M.L. Cristina, on behalf of the Study Group
*University of Pisa, Italy

Journal of Hospital Infection (2023) 131, 139-147


緒言

内視鏡の微生物学的サーベイランスは、再処理手順の質を検証し、汚染されたデバイスを特定する安全策の 1 つであるが、十二指腸内視鏡関連のアウトブレイクが依然として報告されている。

目的

イタリアにおける十二指腸内視鏡の再処理手順の有効性を評価すること。

方法

2019 年 12 月から 2020 年 4 月の間に、イタリアの 15 の内視鏡部門における再処理後の微生物学的サーベイランスから得られたデータを収集した。サンプル採取は再処理後またはキャビネットでの保管中に実施した。国際的なガイドラインとイタリアのポジションペーパーに従って、微生物を高懸念微生物(HCO)と低懸念微生物(LCO)に分類した。

結果

全体で、51 の十二指腸内視鏡から 144 のサンプルを採取した。このうち 36.81%が汚染されており、22.92%は HCO に、13.89%は LCO に汚染されていた(2.08% は LCO の数が 1 デバイスあたり 11 ~ 100 コロニー形成単位(CFU)であり、0.69%は LCO の数が 1 デバイスあたり>100 CFU であった)。汚染率は、再処理後に採取されたサンプルでは 27.5%、欧州規格EN 16442:2015 に準拠したキャビネットで保管中に採取されたサンプルでは 40%、欧州規格EN 16442:2015 に準拠していないキャビネットで保管中に採取されたサンプルでは 100%であった。HCO による汚染率はそれぞれ 15.00%、27.27%、66.67%であった。LCO による汚染と保管時間との相関関係が実証された(Spearman’s rho=0.3701、P = 0.0026)。オリンパス社の十二指腸内視鏡 TJFQ180V は最も低い汚染率(29.82%)を示したが、欧州規格 EN 16442:2015 に準拠していないキャビネットで保管された十二指腸内視鏡の汚染率は 100%であった。

結論

微生物学的サーベイランスは、再処理プロトコールの厳守と併せて、内視鏡汚染を初期段階で検出するのに役立ち、十二指腸内視鏡関連の感染症のリスクを減少させる可能性がある。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

イタリアの多施設での報告。十二指腸内視鏡の再処理後の汚染率が 36.81%と高く、改めて再処理プロトコールの遵守が必要であることがわかる。

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