ナーシングホームにおける感染症の予防と治療に及ぼす消毒薬の役割
Role of antiseptics in the prevention and treatment of infections in nursing homes P.J. Alves*, L. Gryson, J. Hajjar, D. Lepelletier, M. Reners, J. Rodríguez Salazar, A. Simon *Universidade Católica Portuguesa, Portugal Journal of Hospital Infection (2023) 131, 58-69
ナーシングホームにおける不適切な感染制御・創傷ケア・口腔衛生プロトコールは、入居者の QOL に問題をもたらす。今回の記述的レビューでは、フォーカスグループミーティングおよび文献検索の結果に基づき、ナーシングホームの感染管理手順における消毒薬の現在の役割および潜在的な役割について評価する。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus[MRSA])の管理(除菌法など)、慢性創傷ケア、および口腔衛生における現在の対策と問題を調査し、ポビドンヨードに焦点を絞って消毒薬使用のための有用なデータを再考する。クロルヘキシジン、ポリヘキサニド、銀と比較して、ポビドンヨードは広域スペクトルの抗菌活性を示し、バイオフィルムが形成された慢性創傷で検出される MRSA や他の微生物に対して迅速かつ強力な活性を示す。ポビドンヨード曝露後の細菌耐性または交差耐性に関する報告はないので、耐性 MRSA 株をもたらす可能性のあるムピロシンおよびクロルヘキシジンと比較して、ポビドンヨードは MRSA 除菌に望ましいといえる。ポビドンヨード含有口腔製剤は、クロルヘキシジン口内洗浄液など他の消毒薬と比較して口腔病原菌に対する有効性が高く、口腔ケアにおけるポビドンヨードの臨床的有用性は際立っている。さらに、口腔洗浄液を含むポビドンヨード製剤は、SARS-CoV-2 に対して in-vitro で迅速な殺ウイルス作用を示しており、ナーシングホームでの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)制御プロトコールに組み込まれた場合、その伝播の抑制の一助となる可能性がある。重要なことは、ポビドンヨード活性は、慢性創傷や口腔内にみられるような有機物質により悪影響を受けない。ナーシングホームでの MRSA 除菌法、慢性創傷管理、口腔ケアなど感染症管理のために、ポビドンヨードは有望な消毒薬である。
監訳者コメント:
ナーシングホームにおける MRSA 対策や消毒などに関する総説で結構面白いかも…と読み進めたが、何やらかなりポビドンヨード推し。COI のところにもポビドンヨードを販売している会社名があり、ちょっとバイアスがあるかも。
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