2 種類のアルコール性術前皮膚処置液の抗菌持続性★★

2022.11.12

Antimicrobial persistence of two alcoholic preoperative skin preparation solutions

C. Beausoleil*, S.L. Comstock, D. Werner, L. Li, J.M. Eby, E.C. Zook
*BioScience Laboratories, Inc., USA

Journal of Hospital Infection (2022) 129, 8-16


背景

正常な皮膚細菌叢と不十分な皮膚消毒は、医療関連感染症(HAI)の主要な原動力である。術前皮膚処置液の抗菌持続性は、塗布後に皮膚の微生物を抑制し、切開部またはデバイス挿入部位への微生物の侵入を最小限にするために必要である。

 

目的

2 種類の術前皮膚処置液の抗菌持続性を評価すること。

 

方法

103 人の健康ボランティアを対象に無作為化単施設部分盲検臨床試験を実施し、BD ChloraPrepTM(2%[w/v]クロルヘキシジングルコン酸塩[CHG]+ 70%[v/v]イソプロピルアルコール[IPA])および BD PurPrepTM(8.3%[w/w]ポビドンヨード[PVP-I]+ 72.5%[w/w]IPA)の皮膚処置液を、腹部と鼠径部の試験部位において、それぞれ 7 日までと 96 時間まで持続的な抗菌特性を評価した。追加の健康ボランティア 32 人が、試験の回収液は微生物に対して非毒性であることを確実にするための中和手順と、微生物を PVP-I + IPA 膜形成製品からうまく回収できると示すための芽胞回収手順に参加した。

 

結果

CHG + IPA と PVP-I + IPA の両方が適用後 10 分で、腹部と鼠径部において、それぞれ平均で >2 log10 および>3 log10 の細菌減少をもたらした。CHG + IPA は適用後 7 日まで抗菌持続性を保ったのに対し、PVP-I + IPA は本製品のために選択された最長時点である適用後 96 時間まで抗菌持続性を保った。

 

結論

CHG + IPA と PVP-I + IPA は両方とも効果的で持続的な皮膚消毒液であると確認された。全体として皮膚刺激性はあまりみられず、製品適用後に有害事象が 1 件のみ発生したが、製品に関連するものではなく手技に関連するものと考えられた。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

CHG や PVP-I アルコールとの組み合わせにより速効性と持続性を兼ね備えることがわかっていたが、これまでこれらの 2 つのアルコール含有の製剤の抗菌持続性は 48 時間と 24 時間と報告されていた。一方、CHG の皮膚上のタンパク質への強い結合力や PVP-I にポリマーを配合することにより、持続性が延長することがわかっており、本論文で使用された PVP-I にも配合されている。アルコール含有の CHG と PVP-I の抗菌持続性を評価しているが術後感染予防のための皮膚消毒剤としてはどちらのものも皮膚常在菌の抑制効果が認められ、その有効性が示唆されたが、CHG の 7 日間と PVP-I の 3 日間の抑制効果は持続的な血管内留置カテーテル挿入時の皮膚消毒においては CHG が有利であることが予測されるが、血管内留置カテーテル血流感染においては消毒剤以外の多くの因子が関与しており、実際の臨床現場での検討がさらに必要である。

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