フランスの精神保健センターでの社会療法活動中の 2 種の変異株が関与する COVID-19 のスーパースプレッディングイベント

2022.09.05

A COVID-19 superspreading event involving two variants during sociotherapy activities in a French mental health centre

C. Ferriot*, C. Durance, L. Trutt, C. Rozo, C. Louvigné, C. Bressollette-Bodin, G. Birgand
*Centre d’appui pour la Prévention des Infections Associées aux Soins des Pays de la Loire, France

Journal of Hospital Infection (2022) 127, 34-38

背景/目的

精神保健センター 1 施設での合唱後の、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2(SARS-CoV-2)のベータおよびデルタ変異株の両方が関与する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のスーパースプレッディングイベント 1 件の調査。

 

方法

伝播の連鎖を明らかにするため、疫学的・生物学的調査(RT-PCR、変異スクリーニングおよびシークエンシング)を実施した。このスーパースプレッディングイベントがどのように発生した可能性があるのか理解するため、ALARM 根本原因分析を用いて罹患および死亡のレビューを行った。

 

結果

2021 年 5 月 25 日 および 26 日に、合唱参加者全 13 人をスクリーニングした。このうち 8 人が陽性であった。ワクチン接種済みの人はいなかった。生物学的結果によって、7 例のデルタ変異株(3 例はシークエンシングによって確認)と 1 例のベータ変異株が示唆された。141 人の接触者のスクリーニングによって、続発したデルタ変異株の疑い例 21 例とベータ変異株の疑い例 2 例が特定された。合唱中の 2 例の初発症例の Ct 値は類似していたので、異なる拡散能力が示唆された。要因は複数であり、脆弱性に関する個人および集団の認識の低さに関連した社会療法チームによる感染リスクの過小評価が含まれた。

 

結論

社会療法に関与する医療従事者は、スーパースプレッディングイベントのリスクを認識し、軽減するよう教育を受けていなければならない。従来の距離確保および良好な自然換気は、SARS-CoV-2 のより伝播性の高い変異株の拡散を防ぐのには十分でないように思われる。

 

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

スーパースプレッディングイベントがどのように発生したかを研究した論文であるが、スーパースプレッディングイベントの発生要因の追及には至っておらず、気になるところである。

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