中心静脈カテーテル関連血流感染症または中心ライン関連血流感染症を有する小児におけるカテーテルサルベージ戦略:システマティックレビューおよびメタアナリシス

2022.07.25

Catheter salvage strategies in children with central venous catheter-related or -associated bloodstream infections: a systematic review and meta-analysis

D. Buonsenso*, G. Salerno, G. Sodero, F. Mariani, L. Pisapia, C. Gelormini, M. Di Nardo, P. Valentini, G. Scoppettuolo, D.G. Biasucci
*Fondazione Policlinico Universitario A. Gemelli, Italy

Journal of Hospital Infection (2022) 125, 1-20



背景

小児の中心静脈カテーテル関連血流感染症または中心ライン関連血流感染症(CRBSI または CLABSI)の至適管理は確立されていない。

 

目的

小児患者におけるカテーテルサルベージ戦略の成功を評価すること。

 

方法

医療データベースと参考文献一覧から複数の研究を抽出した。抗菌薬全身投与単独または抗菌薬ロック療法併用の 2 つの治療による臨床転帰に関してデータを収集した。オッズ比(OR)と 95%信頼区間(CI)をロジスティック混合効果モデルにより算出した。I2 統計量を用いて異質性について要約した。Egger の回帰検定と漏斗プロットにより出版バイアスを検討した。

 

結果

特定した公表文献 345 報のうち 19 報が選択基準を満たした(サルベージ戦略の試み 914 件)。CRBSI に対するカテーテルサルベージの成功を得るには、抗菌薬ロック療法併用が、抗菌薬全身投与単独よりも優れており(OR -0.40、95%CI -1.41 ~ 0.62)、成功率はそれぞれ、77%(95%CI 69 ~ 85、I2 42.5%、P = 0.12)、68%(95%CI 59 ~ 77、I2 0、P < 0.05)であった。抗菌薬ロック療法を使用した研究では、全身抗菌薬投与単独と比較して CRBSI 再発率は低く、再発率は、それぞれ5%(95%CI 0~13、I 2 59.7%、P = 0.03) 、18%(95%CI 9 ~ 28、I 2 0、P < 0.05)であった。抗菌薬ロックとエタノールロックはいずれも再発率は低かった。CLABSI では、抗菌薬全身投与単独と比較して、抗菌薬ロック療法併用の明らかな有益性は認められなかった(OR -0.81、95%CI -0.80 ~ 2.43)。

 

結論

CRBSI の小児患者において抗菌薬全身投与と抗菌薬ロック液の併用は、病因によっては、カテーテルサルベージの成功に有用であると思われる。一方で、CLABSI に関しては、抗菌薬ロック液の併用の有無に関わらず、抗菌薬全身投与間で統計学的有意差は認められなかった。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

 抗菌薬ロックとエタノールロックの CRBSI に対する効果については国内でも小児を対象とした医師主導の臨床研究が行われているが、現状国内では成人・小児ともに正式に認められた治療法ではないために実施にあたっては各医療施設内における臨床研究倫理委員会等の審査を受けて認可された上で親権者の同意が必要となる。

 

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