3 種類の擦式ゲル状アルコール製剤の忍容性および受容性:無作為化クロスオーバー試験
Tolerability and acceptability of three alcohol-based hand-rub gel formulations: a randomized crossover study A.Peters*, C. Cave, J. Carry, J. Sauser, D. Pittet *University of Geneva Hospitals and Faculty of Medicine, Switzerland Journal of Hospital Infection (2022) 123, 112-118
背景
医療従事者は手指衛生の頻度が高いため、皮膚の乾燥や刺激を経験することが多い。忍容性および受容性は手指衛生遵守の障壁となるが、どのタイプの擦式アルコール製剤が皮膚忍容性をより高めるのかを明確に示した文献はほとんどない。
目的
成人ボランティア集団において、3 種類の擦式ゲル状アルコール製剤の忍容性と受容性を比較すること。
方法
38 例の参加者を、3 種類のゲル状擦式製剤、すなわちイソプロパノール製剤(Hopigel®)、エタノール製剤(世界保健機関[WHO]ゲル状製剤)、過脂肪剤含有エタノール製剤(Saniswiss Sanitizer Hands H1)を試験する 3 つの群に無作為に割り付けた。参加者を対象に各製剤について 5 日間介入を 3 期にわたり試験し、各介入後 9 日間の休薬期間を設けた。各介入の終わりに、皮膚の状態を評価し、フィードバックを回収した。
結果
試験した 3 種類の擦式ゲル状アルコール製剤間で、忍容性に関して統計学的有意差は認められなかったが、受容性に差がみられた。参加者は、H1 および WHO ゲル状製剤の匂いを好んだ(それぞれ、P = 0.003、P = 0.040)。H1 は、WHO ゲル状製剤よりも質感が良く(P < 0.001)、Hopigel よりも総合的に好ましいとされた(P = 0.037)。全体的な好みはさまざまであったが、H1 は、参加者の間で好ましいとされた頻度がもっとも高く、好ましくないとされた頻度はもっとも低かった。
結論
試験された各種製剤に対する参加者の反応に、ばらつきが大きいことが観察された。これらの結果から、最大の受容性を確実にするために、医療従事者に高品質の各種擦式製剤の選択肢を与えることの重要性が強調される。
監訳者コメント:
手指衛生剤も使用するのは人間である。肌触りや臭気など五感に与える影響が遵守率に影響を与える可能性は興味深い。
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