臨床環境の微生物汚染を減少させるための新たな非侵入型・連続使用の空気汚染除去技術の有効性:多施設共同研究
Effectiveness of a novel, non-intrusive, continuous-use air decontamination technology to reduce microbial contamination in clinical settings: a multi-centric study S. Nagaraj*, S. Chandrasingh, S. Jose, B. Sofia, S. Sampath, B. Krishna, I. Menon, D. Kundu, S. Parekh, D. Madival, V. Nandi, A. Ghatak *St John’s Hospital and Medical College, India Journal of Hospital Infection (2022) 123, 15-22
背景
厳密な消毒および燻蒸消毒にもかかわらず、医療関連感染症(HAI)は医療環境における重要な懸念の 1 つのままである。我々は、管理された実験室条件下で空中微生物数の 99.999%超を除去する空中殺微生物技術を持つ「ZeBox」を新たに開発した。
目的
ZeBox の空中および表面の微生物数を減少させる臨床性能を評価すること。
方法
本研究は、病院 2 施設の個室および多床室の集中治療室(ICU)において実施した。ZeBox の配置前および配置後に、あらかじめ決定した場所で、空中および表面の微生物数のサンプリングを行った。減少の統計学的有意性は、Mann-Whitney の U 検定を用いて決定した。
結果
ZeBox は、空中と表面の両方の細菌・真菌数を統計学的に有意に減少させた。両方の病院の ICU において、空中および表面の細菌数は、それぞれ平均で 90%および 75%減少し、ICU 周辺に直径 10 ~ 15 フィートの低バイオバーデン区域をもたらした。減少した微生物量は、ZeBox の運転中、数週間にわたって維持された。病院 1 施設から回収された細菌の臨床分離株の多くは抗菌薬耐性を持ち、特に ZeBox の抗菌薬耐性細菌を除去する能力を浮き彫りにした。
結論
ZeBox は、臨床環境の空中および表面の微生物負荷を有意に減少させる。それによって HAI の発生率を低下させるといったアンメットニーズに役立つ。
監訳者コメント:
今回の新型コロナウイルス感染症の対応においても、空間の清浄について多くの議論がなされているところである。HEPA フィルター、紫外線、光触媒など、様々な技術が取り込まれた製品が出ている。本論文で有効性を検討されている ZeBox は、この論文によれば、自然帯電している微生物をとらえ、化学表面に堆積させ、不活化するというメカニズムである。病院の実空間での有効性を検討しており、有効性が示された。人体への悪影響がなく安全に使用できることがまず第一であるが、今後、さらに広く使用され、エビデンスが蓄積していくことが待たれる。
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