浮遊試験および 4 フィールドテストにおけるクロストリジオイデス・ディフィシル(Clostridioides difficile)芽胞に対する 5 種類の「殺芽胞性」表面消毒薬の有効性

2022.04.20

Efficacy of five ‘sporicidal’ surface disinfectants against Clostridioides difficile spores in suspension tests and 4-field tests

S.Gemein*, R. Andrich, B. Christiansen, M. Decius, M. Exner, B. Hunsinger, E. Imenova, G. Kampf, T. Koburger-Janssen, K. Konrat, H. Martiny, M. Meckel, N.T. Mutters, F-A. Pitten, S. Schulz, I. Schwebke, J. Gebel
*University Hospital Bonn, Germany

Journal of Hospital Infection (2022) 122, 140-147


背景

殺芽胞性表面消毒は、アウトブレイクおよび流行状況の両方に対して推奨されるが、浮遊試験および 4 フィールドテストを用いた「殺芽胞性」表面消毒薬の有効性に関する比較評価は実施されていない。

 

目的

過酸化物またはアルデヒドに基づく 5 種類の「殺芽胞性」表面消毒薬(3 種類の即時使用可能なワイプ[A、B、E]、2 種類の濃縮製剤[C、D])の、クロストリジオイデス・ディフィシル(Clostridioides difficile)芽胞に対する有効性を決定すること。

 

方法

有効性は、清潔な条件下で浮遊試験および 4 フィールドテストを用いて決定した。各試験は 2 つの別々の検査室で 2 通りで実施された。浮遊試験用の溶液を採取するため、ワイプを絞った。

 

結果

製品 A(過酢酸、5 分)、製品 C(2%過酢酸溶液を 15 分または 1%過酢酸溶液を 30 分)、製品 D(2%過酢酸溶液のみを 15 分)は、懸濁液および表面における C. difficile 芽胞を 4 log10 以上減少させ、有効であった。製品 B(過酸化水素)は懸濁液(15 分後に 0.9 log10、1 時間後に 3.2 log10)および表面(15 分後および 60 分後に 2.8 log10)に対して有効ではなかった。グルタルアルデヒド、(エチレンジオキシ)ジメタノールおよび DDAC に基づく製品 E は、懸濁液に対して 4 時間後に 0.9 log10、表面に対して 4 時間後に 4.5 log10 を示した。

 

結論

標準浮遊試験および 4 フィールドテストにおいて、殺芽胞性を主張している表面消毒薬のすべてが、C. difficile 芽胞に対して有効というわけではなかった。診療では、両種の試験の有効性基準に確実に合格する製品を優先すべきである。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

C.difficile の芽胞に対する有効性を謳っている過酢酸(peracetic acid)や過酸化水素(hydrogen peroxide)などを主成分とする 5 種類の商品を用いて実験的にC. difficile芽胞への有効性を評価した研究。同様の有効性を謳う商品の中から、実際に自施設で採用する商品を選定する際に、このような研究結果を参考にするのも良いだろう。

 

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