手術室のバイオクリーニング:残存する血痕の解明による清掃手法の検証★

2022.03.10

Biocleaning in operating theatres: validation of cleaning techniques by revealing residual traces of blood

O.Meunier*, T. Fersing, S. Burger, J. Santasouk
*Centre hHospitalier de Haguenau, France

Journal of Hospital Infection (2022) 121, 32-38

背景

手術室において、患者から患者への潜在的な病原性微生物因子の伝播がないことを保証するため、各患者の移動後にバイオクリーニング工程が必要不可欠である。

 

目的

このバイオクリーニングの質を評価するため、衛生運営チームは残存する血痕を検出するため、非常に感受性の高い手法(警察が用いる方法に基づいたルミノール[3 – アミノフタルヒドラジド])を用いた。

 

方法

通常の洗剤/消毒薬による従来の一段階のバイオクリーニング後、バイオクリーニング前の漂白消毒後、ならびにスチームクリーナーによるバイオクリーニング後に、ルミノールを使用した。

 

結果

ルミノールによって、床、部屋の隅および清掃するのが難しいある種の家具に対して、モップの通過による広範囲の血痕が明らかになった。しかし、スチームクリーナーを 1 回通過させて清掃した表面上に発光は検出されなかった。

 

結論

すべての事例で、部屋は見た目には汚れがないと思われ、血痕はルミノールによって明らかになる場合にのみ可視化された。通常の洗剤または消毒薬は血液を除去せず、むしろ実際には見た目には汚れがないと思われる表面に汚れを広げることも示された。これらの結果から、我々は手順の修正に至り、即時の清掃に蒸気による清掃手法を用いることを一般化するという要望を強くした。さらに、我々の試験はルミノールのバイオクリーニングの質と手法を検証するツールとしての適用可能性も示している。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

手術室の清掃後の血液の残存を調べた論文である。モップの拭き跡に沿って血液の残存が確認されたことは大変に学びが大きいと思われた。消毒とともに清掃の重要性を再確認できた。手術室の床の衛生管理については、何を使ってとかどうやってという手順の施設内基準はあっても、衛生管理の数値目標的な指針がない。無菌化・蛋白質ゼロは目指せないまでも品質評価の測定基準や評価体系があると良いのではと感じた。

 

同カテゴリの記事

2023.03.10
A methodology for using Lambda phages as a proxy for pathogen transmission in hospitals

K.B. Burke*, B.A. Berryhill, R. Garcia, D.A. Goldberg, J.A. Manuel, P.R. Gannon, B.R. Levin, C.S. Kraft, J.M. Mumma
*Emory University, USA

Journal of Hospital Infection (2023) 133, 81-88


2021.02.28

Healthcare workers’ perceptions and acceptance of an electronic reminder system for hand hygiene

P.-O. Blomgren*, B. Lytsy, K. Hjelm, C.L. Swenne
*Uppsala University, Sweden

Journal of Hospital Infection (2021) 108, 197-204

2023.03.10
Evaluation of the ability of commercial disinfectants to degrade free nucleic acid commonly targeted using molecular diagnostics

S. Stoufer*, M. Demokritou, D. Buckley, P. Teska, M.D. Moore
*University of Massachusetts, USA

Journal of Hospital Infection (2023) 133, 28-37


2023.09.30
Clinical characteristics and outcomes of Clostridioides difficile infection in the intensive care unit: a KASID multi-centre study

J.E. Baek*, I.H. Choi, Y.W. Cho, J. Kim, Y.J. Lee, M.C. Kim, K.O. Kim, Y-S. Cho
*The Catholic University of Korea, Republic of Korea

Journal of Hospital Infection (2023) 139, 106-112


2023.12.31
Diagnostic tool for surveillance, detection and monitoring of the high-risk clone K. pneumoniae ST15

E. Gato*, B.K. Rodiño-Janeiro, M.J. Gude, F. Fernández-Cuenca, Á. Pascual, A. Fernández, A. Pérez, G. Bou
*Institute for Biomedical Research of A Coruña (INIBIC), Spain

Journal of Hospital Infection (2023) 142, 18-25



JHIサマリー日本語版サイトについて
JHIサマリー日本語版監訳者プロフィール
日本環境感染学会関連用語英和対照表

サイト内検索

レーティング

アーカイブ