英国国民保健サービス(NHS)の急性期ケア施設の 35 の方針における重要性の低い共有物に対する汚染除去プロトコールのレビュー

2022.02.28

Review of decontamination protocols for shared non-critical objects in 35 policies of UK NHS acute care organizations
 
A.Castelli*, P. Norville, M. Kiernan, J-Y. Maillard, S.L. Evans
*Cardiff University, UK

Journal of Hospital Infection (2022) 120, 65-72

背景

重要性の低い患者の共有物の汚染除去は、病院感染(HAI)を減らす鍵であるが、それは英国国民保健サービス(NHS)の急性期ケア施設による詳細なガイダンスを必要とする複雑なプロセスである。

 

目的

重要性の低い共有デバイスの汚染除去に関して、NHS の急性期ケア施設の方針によって示される指標をレビューすること。

 

方法

重要性の低い共有物に対する汚染除去プロトコールの詳細なリストは、35 のNHS の急性期ケア施設の清掃、消毒および汚染除去方針から検索した。各物体に対して 3 つのパラメータ(汚染除去法、汚染除去頻度、汚染除去の責任者)を検討した。

 

結果

全体で、283 の異なる重要性の低い共有物に関する 1,279 件の汚染除去のプロトコールが検索された。これらのうち、689 件(54%)は汚染除去の責任者について示しておらず、425 件(33%)のみが完全な状態であり、解析した 3 つのすべてのパラメータに関して示すものであった。汚染除去プロトコールの 2.5%(1,279 件中 32 件)のみが 2 つの方針において完全な状態であり、同一であった。清掃が主要な汚染除去法である場所の方針において、化学消毒についてはほとんど言及されておらず、逆もまた同様であった。4 種類の主要な汚染除去法(洗剤と水、洗浄用ワイプ、消毒用ワイプ、および使い捨て用品)、2 種類の汚染除去頻度(イベントの間および毎日)、2 種類の責任者の指定(看護師および内部スタッフ)に関して、方針間のおおむねの一致が認められた。

 

結論

重要性の低い共有物に関する汚染除去プロトコールの方針は類似性があるが、個々の物体をどのように汚染除去すべきかについては一致しなかった。汚染除去プロセスの責任者に関する明白な指標が欠如しているため、方針をガイダンスとして扱うことには能力的な危険性がある。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

35 の英国国営病院(NHS)の施設内プロトコールを収集して、記載内容の確認評価を行っている。NHS では共同購入可能な製品リストやその選択の目安になる資料等も展開しているが、使用する機器や衛生材料が消毒薬、洗浄剤等にばらつきがある。そもそも各医療施設の提供している医療の内容や、施設設備や診療内容もまちまちでありすべてを共通化することも難しい。

 

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