スコットランド保健局の複数の病棟にわたる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の医療関連クラスター

2022.02.28

Healthcare-acquired clusters of COVID-19 across multiple wards in a Scottish health board

 

S.J. Dancer*, K. Cormack, M. Loh, C. Coulombe, L. Thomas, S.J. Pravinkumar, K. Kasengele, M.-F. King, J. Keaney

*NHS Lanarkshire & Edinburgh Napier University, UK

 

Journal of Hospital Infection (2022) 120, 23-30

 

 

背景

医療関連の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、増え続ける重症急性呼吸器症候群コロナウイルス‐2(SARS-CoV-2)を有する患者を管理する病院に対するさらなる負担となっている。スコットランド保健局の急性期病院 3 施設のうちの 1 施設(W)で、COVID-19 クラスターの予期せぬ急増を経験した。

 

目的

病院 W における COVID-19 クラスターの可能性のある原因について調査すること。

 

方法

毎日のサーベイランスによって、保健局全体の 急性期病院 3 施設(H、M、W)および介護施設でのクラスターに関与する患者およびスタッフの総数が示された。2020 年 10 月から 2021 年 3 月まで、患者入院数、市中感染率および外気温度とともに、すべてのクラスターを調査・記録した。選択した SARS-CoV-2 株の遺伝子型を決定した。

 

結果

6 か月の試験期間中に、病院 W の 14 病棟において 19 件の COVID-19 クラスターが発生し、2 ~ 42 日間(平均 5 日間、中央値 14 日間)持続し、平均 9 例の患者(範囲 1 ~ 24 例)および7 名(範囲 0 ~ 17 名)のスタッフが含まれた。病院 H および M における COVID-19 クラスターは、市中感染率を反映した。アウトブレイク制御チームは、毎日のサーベイランス、病棟閉鎖、ユニバーサル・マスキング、スクリーニング、スタッフおよび患者の移動制限、清掃の強化、換気の改善を含む、制御パッケージを実行した。1 月の窓を開ける方針の前に、病院全 3 施設で 40 件のクラスターが発生し、その後、試験の残りの期間中に 3 件が発生した。

 

結論

COVID-19 クラスターの冬季の急増は多因子性であるが、外傷患者を病院内で移動させることによって明らかに悪化した。自然換気の強化を含む感染予防制御パッケージの拡大は、急性期病院における COVID-19 クラスターの減少に役立った。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

2020 年 11 月から 2021 年 3 月のスコットランドの病院でのクラスターについての論文である。様々な対策が取られていたが、窓を開けることによる定期的な自然換気の強化を行った後、クラスターの発生が減少したとしている。変異株によらず、COVID-19 の感染対策における換気の重要性を再確認した。

 

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Journal of Hospital Infection (2021) 112, 21-26

 

 

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