水サンプリングボトル中でよく使用される 2 つの中和剤がレジオネラ(legionella)属菌およびシュードモナス(pseudomonas)属菌の回収に及ぼす影響

2021.11.30

The impact of two commonly used neutralizing agents in water sampling bottles on legionella and pseudomonas bacteria recovery

S. Lai*, B. Nielsen, N. Andrews, K.C. Thompson
*Public Health England, UK

Journal of Hospital Infection (2021) 117, 44-51


背景

微生物モニタリングは、病院の給水システムの局所的なリスク評価によって必要性が示される可能性がある。水のサンプリングを実施する際、残留するすべての殺生物剤の活性が完全に中和されることが必須である。チオ硫酸ナトリウム五水和物(Na2S2O3・5H2O)は、微生物学的検査のために水サンプル中の酸化殺生物剤を中和する目的でよく使用される。エチレンジアミン四酢酸二水和物(Na2EDTA.2H2O)は銀・銅イオン化処理を行った水サンプルを中和するのに推奨されている。しかし、推奨される有効濃度は一貫性に欠ける。さらに、Na2EDTA.2H2O を添加したサンプリングボトルは市販されていない。

 

目的

銀・銅イオンで処理を行った水サンプルに対するエチレンジアミン四酢酸二水和物(Na2EDTA.2H2O)の中和剤としての有効性を、チオ硫酸ナトリウム五水和物(Na2S2O3・5H2O)と比較して検討し、水サンプルにおける殺生物活性を評価すること。

 

方法

レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)または緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)を添加した模擬の水サンプル(銀・銅イオン含有または非含有)を用いて研究室間調査を行った。50 mg/L の Na2EDTA.2H2O または 180 mg/L のNa₂S₂O₃・5H₂Oのいずれかを化学殺菌中和剤として添加した滅菌サンプリングボトルにおいて、回収した細菌を明らかにした。

 

結果

Na₂S₂O₃・5H₂O は効果的に銀イオンと銅イオンの両方と錯体を形成し、殺生物活性を阻害した。50 mg/L のNa2EDTA.2H2O は、細菌が添加されたサンプルにおいて有意な殺生物活性を実証し続けた。

 

結論

本研究では、Na2EDTA.2H2O は銀・銅イオンで処理された水サンプルに対して、効果的な中和剤ではないことが明らかになった。180mg/L の Na₂S₂O₃・5H₂O を添加したサンプルボトルは、銀・銅イオン化システムによって処理された水の中で産生された銀・銅イオンの中和により効果的であった。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

水の殺菌処理として銀イオンや銅イオンを用いている場合、水の培養検査を行う前にこれらの金属イオンを不活化する必要がある。その不活化にはキレート剤である EDTA を含む Na2EDTA.2H2O が推奨されているが、実はそれよりもNa2S2O3・5H2O の方がいいですよ、という論文。専門的だが関係者には重要な内容かも。

 

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