経鼻高流量酸素療法を受ける若年小児の近傍における空中浮遊粒子濃度:パイロット研究
Near-field airborne particle concentrations in young children undergoing high-flow nasal cannula therapy: a pilot study E.T. Gall*, A. Laguerre, M. Noelck, A. Van Meurs, J.P. Austin, B.A. Foster *Portland State University, USA Journal of Hospital Infection (2021) 113, 14-21
背景
経鼻高流量酸素療法はエアロゾル発生を増加させる可能性があり、医療従事者を SARS-CoV-2 などのリスクにさらす。
目的
経鼻高流量酸素療法の使用が、近傍のエアロゾルを増加させるか、また流量との関連があるかどうかを検討すること。
方法
生後 4 週から 24 か月の被験者を募集した。各小児はさまざまな流量で経鼻高流量酸素療法を受けた。粒子濃度を測定するために、粒子計数器を置く 3 つの測定点を設置し、病室内にそれぞれ分散させ、測定点 1 は患者から 0.5 m の位置、測定点 2 は 2 mの位置、測定点 3 は同室のもう一方のベッドの側面とした。二酸化炭素(CO2)と相対湿度を測定した。近傍測定値を補正するために遠位測定値を用いた。
結果
生後 6 か月から 24 か月(中央値 9 か月)の小児 10 例を登録した。CO2 上昇は、近傍測定値が呼気相であることを示した。近傍呼気相における直径 0.3 ~ 10μm のエアロゾル濃度は、経鼻高流量酸素療法を実施していない患者の存在により上昇し、同室の遠位測定値に関連した(0.45 粒子/cm3 に基づく)。粒子の放出と拡散に患者間でばらつきが観察された一方で、あらゆる流量での経鼻高流量酸素療法の使用と近傍粒子数との間に関連は認められなかった。
結論
今回の粒子サンプリング法は、病院環境において実施可能であり、同室の遠位測定値に対して、近傍患者のエアロゾルとCO2 濃度を補正することにより、発生した病原体への曝露リスクを示す代替法となりうる。本パイロット研究において、近傍患者での直径 0.3 ~ 10μm の粒子と CO2 濃度は、経鼻高流量酸素療法の使用により影響されなかった。
監訳者コメント:
エアロゾル産生手技を行う際のエアロゾル発生を調査した論文である。対象が生後6か月から24か月の乳幼児であることから、肺活量も小さく、成人に比較したときに産生されるエアロゾルも少なくなるのではと思われた。そのため、結果は関連性がないとなっていても、エアロゾル産生手技を行う際は、必要な感染対策をとることは必要であろう。
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