病院尿路感染症予防戦略を実施する上での障壁および促進因子:理論的領域フレームワークを用いた定性的研究★

2021.07.31

Barriers and enablers to implementing hospital-acquired urinary tract infection prevention strategies: a qualitative study using the Theoretical Domains Framework

O. Fasugba*, E. McInnes, J. Baye, H. Cheng, R. Gordon, S. Middleton
*St Vincent’s Hospital Melbourne & Australian Catholic University, Australia

Journal of Hospital Infection (2021) 113, 172-179


背景

エビデンスに基づいた病院尿路感染症(UTI)予防戦略の、急性期および亜急性期ケア環境における一貫した実施は、依然として課題となっている。エビデンスと実践のギャップに取り組むには、この高リスク環境において病院 UTI 予防戦略の実施に影響する因子を理解する必要がある。

 

目的

オーストラリアの亜急性期病院において、医師に認識されている病院 UTI 予防戦略の実施における障壁および促進因子を明らかにすること。

 

方法

都市圏にある亜急性期病院 1 施設において、理論的領域フレームワーク(TDF)に基づく定性的半構造化バーチャル面接を、意図的に選択した看護師(N = 8)および医師(N = 2)を対象に実施した。面接で得られたデータについて、TDFをコード化の枠組みとして用いて内容分析を実施した。

 

結果

病院 UTI 予防戦略の実施に対する障壁および促進因子を理解する上で重要な TDF の領域として、知識、技能、能力に関する信念、感情、専門的役割とアイデンティティ、環境コンテキストとリソース、目標、および行動規制の 8 つが特定された。障壁は、病院 UTI 予防の臨床診療ガイドラインに対する認識不足、トレーニングの欠如、スタッフの不足、競合する仕事量、尿道カテーテルのための処置用備品の欠如、認知低下患者に対する予防戦略実施の困難、言語上の障壁、ならびに臨床診療に情報を提供するためのフィードバックおよび発生率報告データ使用の欠如であった。促進因子として、先を見越した実践を行うスタッフ文化の存在、ならびに仕事に対する前向きのチームアプローチが特定された。監査とフィードバック、臨床において手本となる優秀な人材、教育、ならびに患者に対する英語以外の言語による情報リソースが、促進因子候補として特定された。

 

結論

本研究の結果は、亜急性期環境での病院 UTI 予防戦略の実施における成功を促進する目的での、理論的な情報に基づく行動変容介入の開発にとって有用な情報を提供するであろう。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

オーストラリアの亜急性病院 1 施設での病院 UTI 予防戦略の実施に対する障壁と促進因子の報告。障壁や促進因子については既知の報告の追認の印象があるが、自施設の予防戦略を考える上で参考になる。

 

 

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