医療機関におけるルーチンの清掃および消毒処理の実用的な推奨:記述的レビュー
Practical recommendations for routine cleaning and disinfection procedures in healthcare institutions: a narrative review O. Assadian*, S. Harbarth, M. Vos, J.K. Knobloch, A. Asensio, A.F. Widmer *Regional Hospital Wiener Neustadt, Austria Journal of Hospital Infection (2021) 113, 104-114
医療関連感染症(HAI)は、医療提供に起因する有害転帰としてもっとも頻度が高い。HAI は罹病率および死亡率を高め、入院期間を延長させ、追加医療費を伴う。表面、とくに接触頻度の高い表面の汚染は病原体のリザーバとなり、病原体伝播の一因となる。したがって、医療衛生においては、患者の HAI リスクの低減を図るために、的を絞ったリスクに基づくアプローチに次いで、種々の対策を同時に実施することができる包括的アプローチが必要である。このアプローチには、環境清掃ならびに表面や臨床器具の消毒と併せて、手指衛生も含まれる。本レビューでは、一般病棟など汚染リスクが中等度の領域を対象としたルーチンの環境清掃と消毒に焦点を置く。科学的エビデンスによって、表面清掃と消毒に関して広く認められるガイドラインの策定には至っておらず、また広く受け入れられる実用的な推奨も導かれていないので、本レビューでは、日常業務における医療従事者に向けた専門家によるガイダンスを提供する。アウトブレイクの状況についても取り上げ、臨床的に関連のある病原体について実用的なガイダンスを提示する。環境清掃および消毒の重要な要素、すなわち、基本的な臨床リスク評価、適切な消毒薬と清掃器具の選択、標準的な清掃プロセスの明確化、構造化訓練の重要性について、実用的なテーマと実践に焦点を絞り詳細にレビューする。
監訳者コメント:
医療関連感染の病原体別の環境汚染と、環境消毒薬の適正使用についてのレビューである。最新の知見をまとめているため、紫外線照射装置や加速化過酸化水素等についても記載されている。
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