血管カテーテルアクセス時の感染リスク低減のための課題

2021.07.31

Challenges in reducing the risk of infection when accessing vascular catheters

E.S. Greene*
*Albany Medical College, USA

Journal of Hospital Infection (2021) 113, 130-144


血管カテーテルアクセス時の医療関連感染(HAI)リスクの低減のために、注入の安全性は不可欠である。この全般的レビューでは、急性期医療施設における血管カテーテルアクセスポートの汚染および関連する HAI について、オープンルーメン活栓と消毒可能な閉鎖式ニードルレスコネクターに焦点を置き評価する。PubMed で 2000 年 1 月から 2021 年 2 月までの文献を検索した。

患者ケアの際にオープンルーメン活栓の腔内表面が汚染される頻度が高く、HAI リスクは増加しており、イソプロピルアルコールパッドもポートスクラブデバイスも汚染を効果的に低減できない。その一方で、消毒可能な閉鎖式ニードルレスコネクターは消毒でき、大半の研究でオープンルーメン活栓よりも腔内汚染が少ないことが示され、一部の研究では HAI 低減が示されている。HAI 低減を図るために消毒可能な閉鎖式ニードルレスコネクターの最適なデザインを究明する必要がある。同時に、消毒可能な閉鎖式ニードルレスコネクター単独または注入ポートに接合された消毒可能な閉鎖式ニードルレスコネクター活栓に、オープンルーメン活栓のルーチン使用から切り替え、オープンルーメン活栓は無菌領域での使用に限定すべきである。

消毒可能な閉鎖式ニードルレスコネクターの未消毒での使用は、オープンルーメン活栓の使用と比較して、HAI リスクが同等か高い可能性があるので、消毒可能な閉鎖式ニードルレスコネクターの使用直前の消毒の遵守は必須である。選択した各国ならびに国際的なガイドラインにおいて、アクセスポートの消毒の推奨は多様である。in-vitro 研究、臨床研究、公表されているガイドラインを比較した場合、コンセンサスが不足している。そのため、大規模無作為化比較試験を含むさらなる研究が必要とされる。

イソプロピルアルコール含浸キャップにより、消毒可能な閉鎖式ニードルレスコネクターは受動的に消毒され、スクラブが不要になり、汚染に対するバリアが形成されるが、新生児における使用は疑問視されている。中心静脈カテーテル、末梢静脈カテーテル、動脈カテーテルの使用と関連する HAI を減少させるために、イソプロピルアルコール含浸キャップが、消毒薬によるスクラブよりも有効であるか否かを明確にするさらなる研究が必要である。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

人為的に任されたポート消毒法は、その手順の面倒さ故に多忙を極める医療の現場にはなじみにくい。やはり、アルコール含浸スワッブキャップを活用する方が質担保の観点からも推奨される。

 

同カテゴリの記事

2008.05.30

Molecular fingerprinting of meticillin-resistant Staphylococcus aureus strains isolated from patients and staff of two Iranian hospitals

2022.11.12
Prevalence of enterococcal groin colonization in patients undergoing cardiac interventions: challenging antimicrobial prophylaxis with cephalosporins in patients undergoing transcatheter aortic valve replacement

D. Widmer*, A.F. Widmer, R. Jeger, M. Dangel, S. Stortecky, R. Frei, A. Conen
*University Hospital Basel, Switzerland

Journal of Hospital Infection (2022) 129, 198-202


2013.03.30

Persistence of mixed staphylococci assemblages following disinfection of hospital room surfaces

2015.01.30

Hand hygiene monitoring technology: a systematic review of efficacy

2010.01.31

Performance of ultramicrofibre cleaning technology with or without addition of a novel copper-based biocide

JHIサマリー日本語版サイトについて
JHIサマリー日本語版監訳者プロフィール
日本環境感染学会関連用語英和対照表

サイト内検索

レーティング

アーカイブ