湾岸協力理事会病院の患者から得た直腸スワブにおけるカルバペネム耐性遺伝子の分子的検出
Molecular detection of carbapenem resistance genes in rectal swabs from patients in Gulf Cooperation Council hospitals
M. Alqahtani*, I.A. Tickler, Z. Al Deesi, W. AlFouzan, A. Al Jabri, R. Al Jindan, S. Al Johani, S.A. Alkahtani, A. Al Kharusi, E. Mokaddas, A. Nabi, N. Saeed, A. Madian, J. Whitmore, F.C. Tenover
*Bahrain Defence Forces Hospital, Bahrain
Journal of Hospital Infection (2021) 112, 96-103
背景
カルバペネム耐性遺伝子を保有するグラム陰性菌は世界的に広がっており、これには湾岸協力理事会(GCC)諸国も含まれる。しかし、これらの地域の入院患者におけるカルバペネム耐性遺伝子の保有についてはほとんどデータがない。
目的
GCC 病院の患者におけるカルバペネム耐性遺伝子保有の存在率、ならびに保菌のリスク因子を明らかにすること。
方法
2019 年 3 月から 11 月に、GCC 5 か国における 11 の各病院の集中治療室患者約50例から直腸スワブを得た。スワブについて、カルバペネム耐性遺伝子 blaKPC、blaNDM、blaVIM、blaIMP、およびblaOXA-48 の存在を、PCRを用いて検査した。保菌のリスク因子に関するデータを収集・分析した。
結果
スクリーニングを行った 529 の検体のうち、138(26.1%)が 1 つ以上のカルバペネム耐性遺伝子について陽性であった。陽性率は病院によって 8.0%から 67.3%の範囲であり、陽性検体の約 20%に 2 つ以上のカルバペネム耐性遺伝子が認められた。検出されたカルバペネム耐性遺伝子で最も多かったのはblaOXA-48 で、82 の検体(15.5%)に認められた。それ以外のカルバペネム耐性遺伝子には blaNDM、blaVIM、blaKPC、およびblaIMP が含まれ、単一または組み合わせで認められた。全体で、集中治療室入室時に抗菌薬療法を受けていた患者の 31.1%がカルバペネム耐性遺伝子について陽性であったのに対し、抗菌薬療法を受けていなかった患者の陽性率は 16.5%であった(P < 0.001)。また、カルバペネム耐性遺伝子が検出されたのは、65 歳超の患者(P = 0.027)でより多く、入院期間の延長とともに多くなった(P = 0.025)。
結論
GCC 諸国の入院患者におけるカルバペネム耐性遺伝子の検出率には、大きなばらつきがあった。抗菌薬曝露の既往、高齢、および長期の入院が、カルバペネム耐性遺伝子が検出されることと関連した。
監訳者コメント:
GCC 諸国というのは、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、バーレーン、クウェートなどを指すらしい。その枠組みでのカルバペネム耐性遺伝子の検出率というのがどういう意味合いを持つのかよく分からない点もあるが、529 検体のうち26.1%に何らかのカルバペネム耐性遺伝子を認めたというのはやはりかなり高率であると言わざるをえない。世界中どこに行くにも耐性菌の問題はつきまとう。
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