市販の電子手指衛生モニタリングシステムの調査と医療関連感染症の低減に及ぼす当該システムの影響
A survey of commercially available electronic hand hygiene monitoring systems and their impact on reducing healthcare-associated infections
K-R. Cawthorne*, R.P.D. Cooke
*Department of Innovation Alder Hey Children’s NHS Foundation Trust, UK
Journal of Hospital Infection (2021) 111, 40-46
背景
電子手指衛生モニタリングシステムの有益性は十分報告されているが、10 年以上前に初めて導入されてから、認識が不十分である。当該システムの導入と手指衛生遵守率の向上との関連のエビデンスはかなり発表されている。とはいえ、医療関連感染症(HCAI)の低減に及ぼす当該システムの影響はそれほど明確ではない。
方法
Google インターネット検索とあらゆる関連ウェブサイトにより、市販の電子手指衛生モニタリングシステムの特定を行い、マーケティング資材を調査した。当該システムの実行による HCAI の低減のエビデンスを確認するために、文献の構造化検索を実施した。手指衛生の改善策および当該システム使用に関する見解を求めるために、ノースウェスト・イングランドの NHS 急性期トラストの数名の感染予防・制御部門部長と構造化面接を行った。
結果
市販の 29 個の電子手指衛生モニタリングシステムが特定され、そのうち 20 個のシステムの現在の市況は活況を呈している。発表された 9 報の研究より、6 個の当該システムについて HCAI を低減する能力を示すことを裏付けるエビデンスが得られた。しかしながら、大部分の評価デザインは準実験的であり、質の高いステップウェッジ法によるクラスターランダム化比較試験のデザインを用いた研究は 1 報のみであった。この研究では、当該システムは広範な多面的手指衛生改善策の一部であった。5 名の感染予防・制御部門部長と構造化面接を行い、彼らは、当該システムの費用対効果がより良好となるまでは、この種の技術への経済的投資の支持にためらいがあることを一貫して表明した。
結論
NHS トラストが電子手指衛生モニタリングシステムの調達を検討する前に、当該システムが HCAI を低減させる能力のエビデンスベースを高める必要がある。
監訳者コメント:
ヒトの行動をモニタリングすることの難しさをこの論文は物語っている。しかし IT と AI 技術を投入すれば自動コンビニができるくらいなので簡単にシステムを組むことが可能なのでは?と思ってしまう。ようするにインフラに対しての投資規模が小さすぎるのだ。
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