皮膚消毒液がカテーテル関連血流感染症の発生率に及ぼす影響:システマティックレビューとネットワークメタアナリシス

2021.04.30

Effect of skin antiseptic solutions on the incidence of catheter-related bloodstream infection: a systematic review and network meta-analysis

 

T. Masuyama* , H. Yasuda, M. Sanui, A.K. Lefor

*Jichi Medical University Saitama Medical Centre, Japan

 

Journal of Hospital Infection (2021) 110, 156-164

 

 

背景

カテーテル関連血流感染症(CRBSI)の発生率を低減させるもっとも有効な皮膚消毒液は、いまだ不明である。

 

目的

中心静脈カテーテル(CVC)または動脈カテーテルを留置された成人患者において、異なる濃度のクロルヘキシジングルコン酸塩(CHG)溶液とポビドンヨード液を比較することと、CRBSI 発生率との関連を確認すること。

 

方法

本研究では、基礎疾患を有し、CVC または動脈カテーテルを留置されている 18 歳以上の患者において、CHG 消毒剤とポビドンヨード消毒剤を比較するランダム化比較試験を評価した。主要評価項目は CRBSI 発生率とした。多変量変量効果メタアナリシス用いた頻度論的アプローチによりネットワークメタアナリシスを実施し、効果量を相対リスク(RR)と 95%信頼区間(CI)で表示した。

 

結果

調査により 1,511 報が得られ、そのうち 5 報(2,815 カテーテル)をネットワークメタアナリシスに含めた。CRBSI のリスクは、1% CHG アルコールが、0.5% CHG アルコール(RR 0.40、95%CI 0.16 ~ 0.98;確実性高い)または 10% ポビドンヨード液(RR 0.31、95%CI 0.15 ~ 0.63;確実性高い)よりも有意に低かった。1% CHG アルコールと、2% CHG 溶液(RR 0.35、95%CI 0.12 ~ 1.04;確実性中程度)または他の消毒液との間で CRBSI のリスクに有意差はみられなかった。CRBSI 低減の有効性の階層構造は、1% CHG アルコールの後に、0.5% CHG アルコール、2% CHG 液、10% ポビドンヨード液と続いた。

 

結論

1% CHG アルコールを含有する消毒剤は、0.5% CHG アルコール、10%ポビドンヨード液と比較して CRBSI のリスク低減との相関がより強かった。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

2011 年の血管内留置カテーテル関連血流感染予防のための CDC ガイドライン公開以降、米国では0.5%を超えるクロルヘキシジンアルコールによる刺入部の消毒がメインになっているが、その多くは 2%である。日本では 2%製剤はなく、これまでの国内の主流だった、10%ポビドンヨード液にかわり 1%クロルヘキシジンアルコール製剤が普及してきており本論文はそれを支持する結果となっている。2% 対 1%の検討が欲しいところである。

 

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