中国の 3 地域由来のコリネバクテリウム・ストリアツム(Corynebacterium striatum)のゲノム疫学:中国で新たに発生した院内での流行

2021.04.30

Genomic epidemiology of Corynebacterium striatum from three regions of China: an emerging national nosocomial epidemic

 

X. Wang*, H. Zhou, P. Du, R. Lan, D. Chen, A. Dong, X. Lin, X. Qiu, S. Xu, X. Ji, M. Li, X. Hou, L. Sun, D. Li, L. Han, Z. Li

*Chinese Center for Disease Control and Prevention, China

 

Journal of Hospital Infection (2021) 110, 67-75

 

 

背景

コリネバクテリウム・ストリアツム(Corynebacterium striatum)は新興多剤耐性(MDR)病原体の 1 つと見なされてきた。中国では入院患者の呼吸器サンプルから唯一の菌として MDR C. striatum が単離されることが増えている。

 

目的

中国における C. striatum のゲノム疫学および進化を明らかにすること。

 

方法

2016 年から 2018 年に中国の 3 地域の病院 3 施設から計 260 の分離株を収集した。すべての分離株に対して抗菌薬感受性試験を実施した。ゲノムの多様性および関連性を評価するため、また抗菌薬耐性遺伝子および抗菌薬耐性遺伝子カセットの存在を検出するため、すべての分離株に対して全ゲノムシークエンシングを適用した。

 

結果

ほぼすべての分離株(96.2%、260 株中 250 株)が抗菌薬耐性を示した。ゲノムシークエンシングによって、流行系統として新たに出現した lineage IV を含む 4 つの主要な系統が明らかになった。多様性の大部分は過去 6 年で発生した。各病院は独自の優勢クローンを有し、河北省と広東省の病院の間で拡散の可能性がある。ゲノム解析によって複数の抗菌薬耐性遺伝子がさらに明らかになった。

 

結論

我々の結果は、C. striatum の 4 つの系統は中国全域で同時に拡散し、病院内で持続的かつ広範な伝播を引き起こしたことを示唆した。MDR C. striatum 感染症は全国的な流行となった。抗菌薬による選択圧は持続的な優勢クローンの形成において重要な役割を果たした可能性がある。我々のデータは MDR C. striatum によって引き起こされた流行を制御するための調査と予防戦略の基礎となる。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

コリネバクテリウム・ストリアツム(Corynebacterium striatum)は、本来皮膚常在菌であるが、近年耐性化が進んでおり、医療関連感染症としての報告も増加している。

 

 

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*Resistomap Oy, Finland

Journal of Hospital Infection (2021) 117, 157-164


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