アイルランドの 3 次紹介病院の救急部におけるインフルエンザのポイント・オブ・ケア検査の結果
Outcomes of point-of-care testing for influenza in the emergency department of a tertiary referral hospital in Ireland
T.K. Teoh*, J. Powell, J. Kelly, C. McDonnell, R. Whelan, N.H. O’Connell, C.P. Dunne
*University Limerick Hospital Group, Ireland
Journal of Hospital Infection (2021) 110, 45-51
背景
季節性インフルエンザは深刻な罹患と死亡を引き起こし、地域および病院ベースの治療に対して繰り返される経済的負担となる。院内アウトブレイクはインフルエンザの影響を悪化させる。インフルエンザの迅速診断は伝播を減少させることが示されてきた。しかし、院内感染を減らすための救急部におけるポイント・オブ・ケア検査(POCT)およびウイルスを有する患者の慎重な管理は広く評価されていない。
目的
Abbott ID NOW Influenza A & B 2 システムの性能特性、院内感染インフルエンザの発生率に対する影響を評価すること、ならびに POCT を受けた患者の入院率比を検査室での検査を受けた患者と比較して評価すること。POCT は 2018 年から 2019 年のインフルエンザシーズンに導入された。それ以降のデータは前後のシーズンと比較した。
方法
2017 年から 2018 年、2018 年から 2019 年、2019 年から 2020 年のインフルエンザシーズンの POCT および検査室での検査の記録を分析した。POCT の感度と特異度は Xpert Flu A/B/RSV と対で比較した。患者入院率および入院待機時間を比較した。
結果
POCT が利用可能だった場合、検査室での試験と比較して POCT が示したインフルエンザ A に対する感度は 90.6%(95%信頼区間[CI]78.6 ~ 96.5)、特異度は 99.2%(95%CI 95.2 ~ 100)であり、2 シーズンにおける院内感染の件数減少率はそれぞれ 51.4%、41.9%であった。POCT により診断されたインフルエンザ症例と検査室での診断とを比較した入院率比は 0.72(95%CI 0.53 ~ 0.97、P = 0.031)であった。
結論
インフルエンザに対する POCT は、インフルエンザウイルスシーズンのピーク時の患者に対する検査法として院内感染を減少させる可能性のある実行可能な戦略であると思われる。検査所要時間が比較的短いことで、インフルエンザが疑われる救急部受診患者の臨床管理に役立つ可能性もある。
監訳者コメント:
本論文で検討されたAbbott ID NOWは、SARS-CoV2にも応用されており、現場で大変に役立っていると思われる。今後、POCTはますます需要が高まるものと思われる。
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