使用、再使用、廃棄? COVID-19パンデミック時におけるN95マスクの過酸化水素蒸気による汚染除去後の機能的完全性のばらつきの定量化
Use, re-use or discard? Quantitatively defined variance in the functional integrity of N95 respirators following vaporized hydrogen peroxide decontamination during the COVID-19 pandemic
- Levine, C. Grady, T. Block, H. Hurley, R. Russo, B. Peixoto, A. Frees, A. Ruiz, D. Alland
*Rutgers New Jersey Medical School, USA
Journal of Hospital Infection (2021) 107, 50-56
背景
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、多くの施設において、必要な個人防護具、とくに N95 マスクを補充する能力が限界に至っている。N95 マスクの汚染除去および再使用プログラムは、この問題に対して可能性のある 1 つの解決法を提示しているが、残念なことに、汚染除去がさまざまな N95 モデルの密着性に及ぼす影響に関して、定量的密着性試験によるアプローチを用いた総合評価は不十分である。
目的
病院環境で現在使用されている N95 マスクの過酸化水素蒸気による 8 回までの汚染除去が、密着性に及ぼす影響を評価するとともに、最初の使用者が装着した N95 マスクが、過酸化水素蒸気による汚染除去後に密着性を損なうことなく、次の使用者の顔の形状に適合するかどうかを検討すること。
方法
N95 マスクの過酸化水素蒸気による汚染除去後の機能的完全性(密着性を測定)を定量的に明らかにするために、PortaCount Pro+ Respirator Fit Tester Model 8038 を使用した。
結果
Halyard Fluidshield 46727 N95 マスクでは、過酸化水素蒸気による 8 回の汚染除去を通して、機能的完全性の低下傾向を観察できた。3M 1870 N95 マスクの機能的完全性は、マスク装着後、有意に低下し、過酸化水素蒸気による汚染除去後、2 番目の使用者で密着性を定量的に試験したところ、定性的密着性試験と定量的密着性試験の結果の不一致がさらに明らかになった。このことは、施設で使用される密着性試験の方法に強い影響を与える可能性がある。
結論
データからは、各種モデルの N95 マスクを過酸化水素蒸気により汚染除去した後の機能的完全性のばらつきが示され、N95 マスクの汚染除去および再使用プログラムの限界の可能性が表面化した。
監訳者コメント:
N95マスクの再利用については、日本では、厚生労働省の事務連絡が参考にされている。「N95 マスクの例外的取扱いについて」(厚生労働省、2021年4月10日事務連絡)
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