エタノールおよびイソプロパノールによる硬性表面におけるヒトコロナウイルスの不活化★
Ethanol and isopropanol inactivation of human coronavirus on hard surfaces
- Meyers*, R. Kass, D. Goldenberg, J. Milici, S. Alam, R. Robison
*Pennsylvania State College of Medicine, USA
Journal of Hospital Infection (2021) 107, 45-49
背景
新型コロナウイルス感染症(COVID- 19)のパンデミックにより、公共の場において表面の消毒を行う頻度が大幅に高まり、その結果、消毒製剤の入手可能性が低下する結果となった。代替法として、純アルコール(エタノールおよびイソプロパノール)または次亜塩素酸ナトリウムの使用が考えられる。
目的
様々な濃度のエタノール、イソプロパノール、および次亜塩素酸ナトリウムについて、短い接触時間を用いて、表面で乾燥させたヒトコロナウイルスに対する有効性を明らかにすること。
方法
高濃度の感染性ヒトコロナウイルスを、磁器製およびセラミック製のタイル上で乾燥させ、次いで様々な濃度のアルコールにより、15 秒、30 秒、および 1 分の接触時間で処理を行った。次亜塩素酸ナトリウムについても 3 種類の濃度で実験を行った。ウイルス力価の減少を、組織培養感染量 50 アッセイを用いて測定した。
結果
濃度 62%から 80%のエタノールおよびイソプロパノールは、タイル表面上で乾燥させた高濃度ヒトコロナウイルスの不活化において、15 秒の接触時間でも極めて効果が高かった。濃度 95%のアルコールはウイルスを脱水させ、感染性ウイルスの生存を可能にした。米国疾病対策センター(CDC)により推奨されている次亜塩素酸ナトリウム溶液(10倍希釈 および50倍希釈)は、タイル表面上で乾燥させた高濃度ヒトコロナウイルスの不活化において効果的であった一方、100 倍希釈溶液では活性が大幅に低下しただけだった。
結論
複数種類の濃度のエタノール、イソプロパノールおよび次亜塩素酸ナトリウムは、公共の場で一般的にみられる硬性表面上の感染性ヒトコロナウイルスの不活化に効果的であった。多くの場合、感染性ヒトコロナウイルスの残存が検出されることはなかった。
監訳者コメント:
硬性表面のヒトコロナウイルスの不活化がエタノール、イソプロパノール、および次亜塩素酸ナトリウムで可能であったという報告。新知見とはいえないが、改めて確認したい。
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