N95 マスクの再利用のための医療施設での重力蒸気による再処理

2020.12.31

Gravity steam reprocessing in healthcare facilities for the reuse of N95 respirators
A. Aljabo*, E. Mueller, D. Abdul-Azeez, T. Hoare, A. Jain
*SteriPro Canada, Inc., Canada
Journal of Hospital Infection (2020) 106, 698-708


背景
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は世界中の何百万もの人々の健康に大きな影響を及ぼしている。病院施設における N95 マスクを含む個人防護具の不足は最前線の医療従事者のウイルス感染リスクを高めている。
目的
現在のすべての規制基準を満たし既存の利用可能な器具を用いて病院で直接実行できる、再現性があり安全な N95 マスクの再処理法を開発すること。
方法
N95 マスクの再利用のために、121°C、30 分の蒸気処理後に 30 分の加熱乾燥を行う非毒性の重力蒸気による再処理法を開発した。型番 1860、1860s、1870+、9105 の N95 マスクのサンプルは病院から回収(微生物学検査用)または新品を購入し(機能性検査用)、米国疾病対策センターで国立労働安全衛生研究所が規定した標準的手順を用いて、すべての機能性検査(すなわちろ過効率、密着度評価、ストラップの完全性)を実施した。
結果
検査したすべてのモデルは 3 サイクルの重力蒸気による再処理後に最小ろ過効率 95 %を達成した。1870+モデルのN95 マスクは、複数回の再処理手順後も他のすべての重要なマスクの機能特性を維持することに加え、効率的に細菌が不活化されることを根拠として、再処理をするのに最も有望なモデルである。
結論
重力蒸気による方法は、3 サイクル以上の再処理にわたって規制機関が定めた機能的要件に悪影響を及ぼすことなく N95 マスクを効果的に再処理することができる。N95 マスクの再利用を可能にすることは、現在のパンデミックと今後の医療危機の両方に対処するために極めて重要な手段である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
N95 の再利用のための滅菌についての論文である。高圧蒸気滅菌が有用とされている。日本では、厚生労働省が 2020 年4 月 10 日に通知をだしている。そこでは、過酸化水素水プラズマ滅菌器を用いた再利用法、過酸化水素水滅菌器を用いた再利用法、5 枚の N95 マスクによる 5 日間サイクル法が提示されている。
N95 マスクについて(依頼)(厚生労働省 2020 年 4 月 7 日)
https://www.mhlw.go.jp/content/000619969.pdf

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