経直腸的超音波ガイド下前立腺生検のための有効性の高いエルタペネム予防投与:抗菌薬の総使用量と入院患者の病院曝露に対する効果
Highly effective prophylaxis with ertapenem for transrectal ultrasound-guided prostate biopsy: effects on overall antibiotic use and inpatient hospital exposure
M.G. Bloomfield*, A.D. Wilson, R.C. Studd, T.K. Blackmore
*Wellington Regional Hospital, New Zealand
Journal of Hospital Infection (2020) 106, 483-489
背景
当施設において、経直腸的超音波ガイド下前立腺生検のためのエルタペネム予防投与は有効性が高いことが証明されてきた。その後の研究ではカルバペネム耐性の選択は示されなかったが、抗菌薬管理の懸念は残っていた。
目的
抗菌薬の総消費量と病院環境への曝露に対する本予防投与の効果を評価すること。
方法
2006 年 11 月から 2019 年 7 月に経直腸的超音波ガイド下前立腺生検を受けたすべての男性が含まれた。生検後感染症の発生有無、抗菌薬の使用、および入院期間を明らかにするため、生検から 30 日以内に受診した男性の病院記録を検索した。エルタペネム投与前の期間(期間 1、2006 年から 2012 年)の予防投与は 3 日間の経口シプロフロキサシン投与であり、2009 年に経口アモキシシリン・クラブラン酸を追加した。その後の期間(期間 2、2012 年から 2019 年)ではエルタペネムの単回筋肉内投与を用いた。
結果
期間 1 と期間 2 にそれぞれ 1,663 例、2,357 例の男性が含まれた。年齢中央値は両群ともに 65 歳であった。期間 1 と 期間 2 の間に生検後感染症の発生率は 2.65%から 0.34%に低下し(リスク比 0.13、95%信頼区間[CI]0.06 ~ 0.27)、生検後感染症関連の菌血症は 1.14%から 0.04%に低下し(リスク比 0.04、95%CI 0.01 ~ 0.22)、期間 2 における菌血症は 1 例であった。生検後感染症治療の抗菌薬消費量は、生検 100 件あたりの 1 日規定用量(DDD)で 57.6 DDD から 4.3 DDD に減少し(平均差 -53.3、95%CI -73.1 ~ -33.5)、総消費量(治療と予防投与の合計)は、生検 100 件あたり 580.8 DDD から 104.3 DDD に減少した(平均差 -476.5)。生検 100 件あたりの生検後感染症関連の在院日数は 9.44 日から 0.89 日に減少した(平均差 -8.55、95%CI -12.31 ~ -4.79)。
結論
エルタペネムの予防投与は有効性が高く、抗菌薬の総消費量と入院患者在院日数の著しい減少をもたらした。効果的な予防投与は、抗菌薬適正使用の観点から見て優れている。
サマリー原文(英語)はこちら
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