湾岸協力会議加盟国の病院における抗菌薬適正使用支援プログラムの国際標準に対するマッピング:システマティックレビュー

2020.11.30

Mapping hospital antimicrobial stewardship programmes in the Gulf Cooperation Council states against international standards: a systematic review
N. Hashad*, D. Perumal, D. Stewart, A.P. Tonna
*Robert Gordon University, UK
Journal of Hospital Infection (2020) 106, 404-418


背景
湾岸協力会議加盟国における抗菌薬適正使用支援プログラム(ASP)の実施に関するエビデンスはあるが、国際的な標準や枠組みに対するベンチマーキングおよびマッピングは限られている。
目的
米国疾病対策センター(CDC)の ASP 枠組みに準拠した、中東の湾岸協力会議加盟国の病院での ASP 実施に関するエビデンスを厳密に評価、統合し、重要な促進因子および阻害因子を特定することを目的とした。
方法
プロトコールガイドラインのシステマティックレビューおよびメタアナリシスのための優先的報告項目に基づき、システマティックレビューのプロトコールを作成した。2010 年以降に英語で発表された研究を 5 つの電子データベースで検索した。2 名の評価者が独立して、研究の選択、質評価、データ抽出を行った。CDC の中核要素に位置づけられる ASP 介入を用いてナラティブ統合を実施した。
結果
17 報の研究を特定し、その大半(11 報)はサウジアラビアで実施されたものであった。CDC による ASP 枠組みのマッピングにより、ASP 実施を報告する上での利点と欠点の重要な領域が特定された。研究では、薬学の専門知識・実践面における選択・追跡・抗菌薬使用と耐性・教育の中核要素が報告されることが多かった。指導力や責務の報告については、ほどんど重要視されなかった。実施の重要な促進因子は、医師および組織の支援、情報システム、教育であり、阻害因子は、専任職員、仕事量、資金であった。
結論
湾岸協力会議加盟国の病院における ASP 実施の報告を促す必要がある。ASP 介入の策定、実施、報告における指針として CDC による枠組みを使用すべきである。可能な場合、促進因子の特定および阻害因子の克服のための対策が必要である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
隣国同士で、文化や社会的背景の近い国々で ASP の状況を比較検討することで、さらなる改善に繋げることができるかもしれない。

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