人工換気または高流量酸素療法を要する重症肺炎を有する COVID-19 患者の隔離室における環境汚染★★

2020.11.30

Environmental contamination in the isolation rooms of COVID-19 patients with severe pneumonia requiring mechanical ventilation or high-flow oxygen therapy
J.Y. Ahn*, S. An, Y. Sohn, Y. Cho, J.H. Hyun, Y.J. Baek, M.H. Kim, S.J. Jeong, J.H. Kim, N.S. Ku, J.-S. Yeom, D.M. Smith, H. Lee, D. Yong, Y.-J. Lee, J.W. Kim, H.R. Kim, J. Hwang, J.Y. Choi
*Yonsei University College of Medicine, Republic of Korea
Journal of Hospital Infection (2020) 106, 570-576


背景
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)による環境汚染の程度を明らかにすることは、感染予防・制御にとって不可欠である。環境汚染の程度は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者において、これまで十分に研究されていない。
目的
人工換気または高流量酸素療法を要する重症 COVID-19 患者の隔離室における SARS-CoV-2 による環境汚染について検討すること。
方法
重症肺炎を有する COVID-19 患者 3 例の隔離室において環境スワブサンプルおよび空気サンプルを採取した。患者 1 および患者 2 は閉鎖吸引システムによる人工換気を受けていた一方、患者 3 は高流量酸素療法および非侵襲的人工換気を受けていた。逆転写リアルタイム PCR を用いて SARS-CoV-2 の検出を行い、逆転写リアルタイム PCR で陰性でなかったサンプルについてウイルス培養を行った。
結果
患者 1 および患者 2 の病室で採取されたスワブサンプル 48 個のうち、気管内チューブの外側表面から採取したサンプルのみが逆転写リアルタイム PCR で SARS-CoV-2 陽性であった。しかし、患者 3 の病室では、環境サンプル 28 個(媒介物、固定構造物、および天井の換気装置排気口)のうち 13 個が陽性結果であった。空気サンプルは SARS-CoV-2 陰性であった。生きたウイルスは、患者 1 の気管内チューブ、および患者 3 の病室の 7 カ所で認められた。
結論
SARS-CoV-2 による環境汚染は、ウイルス伝播の経路となっている可能性がある。しかし、患者が閉鎖吸引システムによる人工換気を受けている場合は、環境汚染はわずかである可能性がある。これらの所見は、個人防護具の安全な使用を目的としたガイドラインのためのエビデンスを提供し得る。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
患者数がわずか 3 例で、そのうち高流量酸素療法が 1 例であること、さらに「RT-PCR 検査陽性イコール感染性あり」を意味するものではないため、その解釈に注意が必要である。しかしながら、高流酸素投与患者からは複数箇所から同時にウイルス培養も陽性となっており、高流量酸素投与下ではエアロゾル発生による新型コロナウイルスの環境汚染が発生し、医療従事者への感染の可能性を否定することはできない。したがって、N95 マスク着用を含む防護具の適切な使用と環境整備の徹底を再強化する必要である。一方で、床のウイルス検出は直接感染とは関連しないと考えられる。

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