英国の集中治療室(ICU)における 2016 年 5 月から 2017 年 4 月の血流感染症サーベイランス:疫学と生態学
Surveillance of bloodstream infections in intensive care units in England, May 2016–April 2017: epidemiology and ecology
S.M. Gerver*, M. Mihalkov, J.F. Bion, A.P.R. Wilson, D. Chudasama, A.P. Johnson, R. Hope, on behalf of the Infection in Critical Care Quality Improvement Oversight Group
*Public Health England, UK
Journal of Hospital Infection (2020) 106, 1-9
背景
集中治療室(ICU)の患者における血流感染症(BSI)は、罹病率・死亡率・経済的損失の増加と関連する。多くの BSI が中心静脈カテーテル(CVC)と関連している。英国の ICU における BSI サーベイランスに着手するために、Infection in Critical Care Quality Improvement Programme が構築された。
方法
あらゆる血液培養陽性例、入院日数、CVC 留置日数について収集するために、2016 年 5 月 1 日にウェブベースのデータ収集システムを立ち上げた。英国国民保健サービス(National Health Service;NHS)トラストに、サーベイランスプログラムへの参加を依頼した。データを、Public Health England により保存されている抗菌薬耐性データセットおよび死亡率データとリンクさせた。
結果
2016 年 5 月 1 日から 2017 年 4 月 30 日にかけて、NHS トラストの 147 施設のうち57 施設の ICU 84 室(成人 ICU 72 室、小児 ICU 7 室、新生児 ICU 5 室)がデータを提供した。全体で 1,474 件の血液培養陽性例が報告され、もっともよく報告された微生物は、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(staphylococci)、大腸菌(Escherichia coli)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)であった。成人 ICU、小児 ICU、新生児 ICUそれぞれで、BSI の発生率は 1,000 患者ベッド日あたり 5.7、1.5、1.3 で、ICU 関連 CVC-BSI の発生率は 1,000 ICU-CVC 日あたり 2.3、1.0、1.5 であった。ICU のタイプ毎で、 BSI および CVC-BSI の発生率に大きな差があり、とくに成人 ICU で顕著であった(1,000 患者ベッド日あたり 0 ~ 44.0、1,000 ICU-CVC 日あたり 0 ~ 18.3)。
結論
ICU 関連 CVC-BSI の全発生率は、3 つの年齢層で 1,000 ICU-CVC 日あたり 2.5 未満であったが、ICU 間で大きな差が認められた。これによる改善の機会を特定するために、全国的な標準化サーベイランスシステムの重要性が強調される。データリンケージによって、耐性パターンおよび患者転帰に関する臨床的に重要な情報が、追加費用なしで参加トラストに提供された。
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