緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の局地的アウトブレイクの調査におけるパルスフィールド・ゲル電気泳動法(PFGE)と全ゲノムシークエンシングによるタイピングの比較では、PFGE の精度が確認される

2020.08.31

Comparison of pulsed-field gel electrophoresis and whole-genome-sequencing-based typing confirms the accuracy of pulsed-field gel electrophoresis for the investigation of local Pseudomonas aeruginosa outbreaks
D. Martak*, A. Meunier, M. Sauget, P. Cholley, M. Thouverez, X. Bertrand, B. Valot, D. Hocquet
*Centre Hospitalier Régional Universitaire, France
Journal of Hospital Infection (2020) 105, 643-647


目的
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)をモデルとして、全ゲノムシークエンシング(WGS)による技術で明らかにされたクラスターに属する分離株が、パルスフィールド・ゲル電気泳動(PFGE)により正確に認識されるかどうかを確認すること。
方法
1998 年から 2012 年に欧州の 7 つの病院で分離された ST395 P. aeruginosa 分離株 65 株を選択した。分離株を PFGE によりタイピングし、WGS により配列を決定した。3,831 の遺伝子を用いたコアゲノム複数部位塩基配列タイピング(cgMLST)解析を、独自のパイプラインを用いて実施した。
結果
PFGE により 8 つの pulsotype が同定され、cgMLST により 9 つのクラスターおよび 9 つの singleton が識別された。cgMLST による 5 つのクラスターと pulsotype(65 株中 31 株)は完全に一致した。PFGE により分類された明白な疫学的関連がない分離株が、部位を識別する cgMLST により分離された(65 株中 16 株)。これより、局地的アウトブレイクの調査に PFGE を続行すべきであることが示唆される。さらに重要な点は、高頻度突然変異分離株は、その親株と pulsotype が同一であったが(65 株中 16 株)、cgMLST では認識されなかった。これは、緑膿菌の蔓延時に生じる遺伝的浮動の加速による影響が、PFGE では、WGS によるタイピングよりも少なかったことを示している。
結論
WGS によるタイピングは論理的に新たな参照基準になっているが、本研究では、緑膿菌に起因する局地的アウトブレイクの調査のために、PFGE を確信をもって使用できることが示された。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
MLST 法は比較的広域の流行株把握に適し、ローカルな流行株の特徴把握は PFGE 法が適している。

同カテゴリの記事

2011.08.30

Burden of healthcare-associated infections in a paediatric intensive care unit of a developing country: a single centre experience using active surveillance

2006.02.28

Efficacy of antiseptic-impregnated catheters on catheter colonization and catheter-related bloodstream infections in patients in an intensive care unit

2017.06.29

Prevalence of healthcare-associated infections in Polish adult intensive care units: summary data from the ECDC European Point Prevalence Survey of Hospital-associated Infections and Antimicrobial Use in Poland 2012-2014

2023.12.31
Scoping review on the efficacy of filter and germicidal technologies for capture and inactivation of micro-organisms and viruses

K. Kompatscher*, J.M.B.M. van der Vossen, S.P.M. van Heumen, A.A.L. Traversari
*Netherlands Organization for Applied Scientific Research, The Netherlands

Journal of Hospital Infection (2023) 142, 39-48



2007.01.31

Epidemiology and incidence of Clostridium difficile-associated diarrhoea diagnosed upon admission to a university hospital

JHIサマリー日本語版サイトについて
JHIサマリー日本語版監訳者プロフィール
日本環境感染学会関連用語英和対照表

サイト内検索

レーティング

アーカイブ