アデノシン三リン酸(ATP)は手指消毒の効果を評価するための代理指標になるか?★
Can adenosine triphosphate be a proxy measure in evaluation of hand disinfection effect?
H.J. Breidablik*, D.E. Lysebo, L. Johannesen, Å. Skare, J.R. Andersen, O.T. Kleiven
*Helse Førde HF, Norway
Journal of Hospital Infection (2020) 105, 558-560
汚染された手指は、病原体の伝播に寄与する可能性がある。医療関連感染症の予防において、理想的には消毒法の有効性を簡便な方法で評価できるようにすべきである。微生物培養は標準法であるが、同法は複雑で時間がかかる手法であり、スワブを用いたアデノシン三リン酸(ATP)の測定は極めて多く用いられている代理法(生物発光)となっている。著者らは、人工的に汚染させた手指に対して、3 つの手指消毒法が大腸菌(Escherichia coli)の殺滅に及ぼす効果を、培養および ATP 測定を並行して用いて行った。ATP 測定は、生存している細菌だけでなく、手指に存在する生物材料の総量を反映してしまうため、不適切な方法であることが示された。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
ATP は日本でも医療環境や医療器具などの清浄度を評価するために微生物培養に代わる簡便な検査として行われているが、本研究によって手指衛生の効果の評価には不向きであることがわかる。3 つの手指消毒法で培養と ATP 測定を比較しているが、アルコール擦式消毒薬において ATP の減少が乏しかった点が興味深い。
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