噴霧式の擦式アルコール製剤による擦り込み:有効な手指衛生の代替法

2020.04.28

Hand rubbing with sprayed alcohol-based hand rub: an alternative method for effective hand hygiene


J.B.X. Tan*, M.E.A. de Kraker, D. Pires, H. Soule, D. Pittet
*University of Geneva Hospitals and Faculty of Medicine, Switzerland
Journal of Hospital Infection (2020) 104, 430-434

背景
手指衛生は感染予防制御において不可欠である。噴霧式の擦式アルコール製剤が、世界保健機関(WHO)推奨の液状の擦式アルコール製剤による擦り込み法と比べ非劣性であるかどうかは不明である。

目的
噴霧式の擦式アルコール製剤が、擦り込みの有無に関わらず、有効な手指衛生の代替(非劣性)法となりうるか否かを検証すること。

方法
擦式アルコール製剤(60%[v/v]イソプロパノール)を用いた実験室での試験を、European Norm 1500 に従い実施した。手指衛生を次の方法により実施した。(1)手掌に注いだ擦式アルコール製剤による擦り込み(2)噴霧式の擦式アルコール製剤による擦り込み(3)噴霧式の擦式アルコール製剤を手指に擦り込まずに塗布。手指を大腸菌(Escherichia coli)ATCC 10536 で汚染させ、その後、手指衛生と微生物学的サンプリングを行った。手指衛生後の細菌数の減少を分析するために、被験者のランダム切片を含む一般化線形混合モデルを用いた。

結果
計 19 例の医療従事者が試験に参加した。噴霧式の擦式アルコール製剤による擦り込みは、WHO が推奨する液状の擦式アルコール製剤による擦り込み法と比べて非劣性(マージン 0.6 log10コロニー形成単位[cfu]/mL)であり、細菌数の減少は、それぞれ 3.66 log10 cfu/mL(95%信頼区間[CI]1.68 ~ 5.64)、3.46 log10 cfu/mL(95%CI 1.27 ~ 5.65)であった。一方、噴霧式の擦式アルコール製剤を擦り込まなかった場合、非劣性が認められなかった(細菌数の減少 2.76 log10 cfu/mL[95%CI 1.65 ~ 3.87])。

結論
実験条件下では、手指の細菌数を減らすのに、噴霧式の擦式アルコール製剤による擦り込みは、手掌に注いだ擦式アルコール製剤による擦り込みと比べて非劣性であった。他の設定および他の病原体における評価の結果が出るまで、噴霧式の擦式アルコール製剤による擦り込みは、許容可能な手指衛生代替法となりうる。

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

しごく当たり前のことを、実験し評価したに過ぎない。噴霧だけでは散弾銃のように的は限定的である。

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