介護施設における抗菌薬スチュワードシップ:関係者にとって重要なアウトカム★

2020.04.28

Antimicrobial stewardship in care homes: outcomes of importance to stakeholders


H.Q. Nguyen*, D.T. Bradley, M.M. Tunney, C.M. Hughes
*Queen’s University Belfast, UK
Journal of Hospital Infection (2020) 104, 582-591
背景
介護施設における抗菌薬スチュワードシップの改善を目的とした試験において評価されたアウトカムにみられる不均一性は、エビデンスの質を損なってきた。この領域におけるエビデンスの解釈と統合を容易にするために、コアアウトカムセットが必要である。
目的
介護施設における抗菌薬スチュワードシップの改善を目的とした介入にとって重要であると、主要な関係者によって見なされるアウトカムを明らかにすること、ならびに今後の研究において使用が検討されるような、精緻化したアウトカムのリストを作成すること。
方法
対面または電話による半構造化面接を、主要な関係者に対して実施した。介護施設における抗菌薬スチュワードシップについてこれまで実施された無作為化対照試験で報告されたアウトカムを、面接におけるトピックガイドに含めた。参加者によって示唆されたアウトカム候補を同定するために内容分析を実施し、次いでさらなるレビューを行った。
結果
無作為化対照試験で報告された 27 のアウトカムを、精緻化した12 の包括的アウトカムにまとめた。参加者(研究者 6 名、医療従事者 31 名、および介護施設入居者の家族 4 名)との面接により、参加者にとって重要な 40 のアウトカムがさらに同定された。これら 52 のアウトカムの中で、抗菌薬の総数、抗菌薬処方の適切性、およびガイドラインの遵守は、ほとんどの参加者によって強調されたアウトカムであった。52 のアウトカムすべてをレビューした後、介護施設における抗菌薬スチュワードシップに関する試験で使用可能と思われる、精緻化した 14 のアウトカムのリストを作成した。
結論
介護施設における抗菌薬スチュワードシップに関する一連のアウトカム候補が同定され、その一部はこれまでの研究で報告されていなかった。精緻化した 14 のアウトカムリストは、介護施設における抗菌薬スチュワードシップに関する試験のためのコアアウトカムセットに適したものとして使用されることになろう。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
アイルランドで行われた介護施設における抗菌薬スチュワードシップのアウトカムに関する研究。日本では医療機関における抗菌薬スチュワードシップは整備が進められているが、介護施設においてはほとんど整備がされていない。介護施設においては十分な検査も行われずに抗菌薬が使用されていることも多く、介護施設における抗菌薬スチュワードシップを考える上で参考になる。

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