気送管の輸送システムは潜在的病原体を伝播するか?大学病院 1 施設における衛生リスクの評価★ Do pneumatic tube transport systems transmit potential pathogens? A hygienic risk assessment in a university hospital

2020.03.31

L. Khaznadar*, S.J. Dancer, A. Petersmann, U. Seifert, H. Below, R. Papke, M. Suchomel, T. Kohlmann, A. Kramer
*University Medicine Greifswald, Germany
Journal of Hospital Infection (2020) 104, 374-380


背景
1 医療施設におけるバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)のアウトブレイクを受けて、本研究では 1 台の気送管の輸送システムが伝播チャネルである可能性を検討した。
方法
受け取りステーションおよびエントリーラックから塗抹法によりサンプル採取を行った。気送管輸送システムの清掃に用いたスポンジを 0.89%の食塩水に浸漬し、回路で輸送した。気送管および洗浄スポンジから、洗い流し法を用いて微生物を回収した。空気汚染がないかを検出するため、受け取りステーションにおいてエアーサンプリングを行った。さらに送付用チューブを人為的に大腸菌(Escherichia coli)K12 NCTC 10538 および表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)DSM 20044 で汚し、実際に輸送して、チャネル汚染を調べた。
結果
通常の操作においては、気送管輸送システムからの排気や、送付チューブ内に病原体は検出されなかった。送付チューブのエントリーラックは、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌や好気性桿菌、糸状菌、バンコマイシン感性エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)により汚染されていた。E. coli は持続力が弱いため、気送管輸送システムによる細菌伝播の検出には適していないことが示されたが、S. epidermidis はより持続力が強かった。菌で汚染したチューブは輸送システムに通した後でも、S. epidermidis のレベルはごくわずかしか低下しなかった。その後、消毒液に浸漬したスポンジをシステム内に通し、これにより最初の試行から S. epidermidis が完全に除去された。
結論
気送管輸送システムの衛生管理をルーチンに行うことで、病原体伝播の可能性は非常に低くなるが、エントリーラックは定期的に消毒すべきである。本研究を実施した施設における VRE アウトブレイクには、気送管輸送システムは関連していなかったと考えられる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
気送管輸送システムは、国内では「エアシューター」や「気送子」といった名称で呼ばれることがあり、複数の形態が存在する。日常的に使用されている場合、その汚染については注意が払われにくい場所の 1 つと思われる。使用システム・使用法・衛生状態の保持の状況は施設間で異なるが、本検討の着眼点と方法、得られた結果はユニークといえ、非常に参考になるといえる。

同カテゴリの記事

2017.03.31

Molecular analysis of meticillin-resistant Staphylococcus aureus strains isolated from different types of infections from patients hospitalized in 12 regional, non-teaching hospitals in southern Poland

2020.04.28

Assessment of the potential for pathogen dispersal during high-flow nasal therapy

2023.10.31
Whole-genome sequencing to investigate transmission of SARS-CoV-2 in the acute healthcare setting: a systematic review

D. Hare*, K.M. Dembicka, C. Brennan, C. Campbell, U. Sutton-Fitzpatrick, P.J. Stapleton, C.F. De Gascun, C.P. Dunne
*University College Dublin, Ireland

Journal of Hospital Infection (2023) 140, 139-155


2021.11.30
Benefits of a 14-year surgical site infections active surveillance programme in a French teaching hospital

C. Bataille*, A.-G. Venier, F. Caire, H. Salle, A. Le Guyader, F. Pesteil, R. Chauvet, P.-S. Marcheix, D. Valleix, L. Fourcade, K. Aubry, J. Brie, P.-Y. Robert, M. Pefau, M.-C. Ploy, N. D’Hollander-Pestourie, E. Couve-Deacon
*CHU Limoges, France

Journal of Hospital Infection (2021) 117, 65-73