韓国の病院における抗菌薬適正使用支援プログラムの現状:2018 年全国調査の結果
Current status of antimicrobial stewardship programmes in Korean hospitals: results of a 2018 nationwide survey
B. Kim*, M.J. Lee, S.M. Moon, S.Y. Park, K-H. Song, H. Lee, J.S. Park, M.S. Lee, S-M. Choi, J-S. Yeom, J.Y. Kim, C-J. Kim, H-H. Chang, E.S. Kim, T.H. Kim, H.B. Kim, Korea Study Group for Antimicrobial Stewardship (KOSGAP)
*Hanyang University College of Medicine, Republic of Korea
Journal of Hospital Infection (2020) 104, 172-180
背景
抗菌薬適正使用支援プログラム(ASP)は、抗菌薬耐性に取り組む上で不可欠の戦略であることが示唆されている。
目的
韓国の病院における ASP の現状を調べること、適切な ASP の実施における問題と課題を明らかにすること、またより効果的な ASP の方針を作成するための基準を提供すること。
方法
米国疾病対策センター(CDC)の「Seven Core Elements of Hospital Antibiotic Stewardship Programs」に基づいて、以前2015 年に韓国で用いられた ASP に関する質問票を改定して質問票を作成した。ASP に参加している医師、例えば感染症専門医(IDS)、小児 IDS、および感染制御部門長などを対象とした。本調査には、ASP に関係する医師を病院当たり 1 名のみ参加させた。
結果
調査の回答率は 88.4%(95 施設中 84 施設)であった。ASP に参加している医療スタッフの人数は中央値で 3 名(四分位範囲[IQR]1 ~ 5)で、そのほとんどが IDS(中央値 2 名、IQR 1 ~ 2)であった。病院のうち、わずか 6.0%(84 施設中 5 施設)が常勤の ASP担当者を有していた。指定した抗菌薬を制限する方策は、韓国の病院で広く実施されていた(88.1%、84 施設中 74 施設)一方で、不適切な長期の抗微生物薬使用に対する介入、および抗微生物薬を非経口投与から経口投与に切り替える方策を実施していた病院の割合は、それぞれわずか 9.5%(84 施設中 8 施設)および 1.2%(84 施設中 1 施設)であった。韓国の病院において、時間、人員、および適切な代替策が不足していることが、ASP の確立にとって大きな障害であると認識されていた。
結論
韓国の病院における ASP は、主として 1 ~ 2 名の IDS によって実施されており、プログラムの内容のほとんどは指定した抗微生物薬を制限する方策であった。韓国の病院において適切な ASP が実施されるために、全国規模での支援が必要である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
韓国における ASPの現状である。ASP に薬剤師が関与している病院が約 20%とかなり低いようである。また感染症専門医は 1 つの病院につき1 ~ 2名常勤しているようである。人材の不足はどこも同じである。
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