新生児集中治療室において多剤耐性エンテロバクター・クロアカエ(Enterobacter cloacae)のアウトブレイクが疑われる場合の追加制御策としての抗菌薬レジメン変更
Alteration of antibiotic regimen as an additional control measure in suspected multi-drug-resistant Enterobacter cloacae outbreak in a neonatal intensive care unit
V. Eichel*, C. Papan, S. Boutin, J. Põschl, K. Heeg, D. Nurjadi
*Heidelberg University Hospital, Germany
Journal of Hospital Infection (2020) 104, 144-149
背景
新生児集中治療室(NICU)のルーチンでのスクリーニング監視において、特定のグラム陰性菌種の発生増加は、多剤耐性(MDR)菌の場合、特に顕著であり、選択圧によって引き起こされる可能性がある。
目的
NICU でアウトブレイクが疑われる場合の制御策として経験的抗菌薬レジメンの適用について、その有用性の観点から評価すること。
方法
アウトブレイクの後向き分析において、微生物検査および衛生状態の監視記録により、2017 年 12 月 1 日から 2018 年 3 月 31 日までの症例を特定した。さらに、MDR グラム陰性菌保菌のリスク因子を抽出した。全分離株について全ゲノムシークエンシング(WGS)を実施した。介入を明確にするために、制御策の文書調査および面談を実施した。感染制御策とともに、介入バンドルの一環として臨床的に容認できる場合は、第 3 世代セファロスポリン系薬の投与を回避し、代替抗菌薬に切り替えた。
結果
介入前の期間におけるルーチンでのスクリーニング監視では、第 3 世代セファロスポリン耐性エンテロバクター・クロアカエ(Enterobacter cloacae)の直腸保菌が 9 例で認められた。感染制御バンドルの実施後、発生率は急速に低下した。WGS 解析より、2 種類の MDR- E. cloacae の伝播が明らかになり、大部分が新規症例であった。MDR グラム陰性菌保菌の罹患密度は、介入前では 1,000 患者・日あたり 7.94、抗菌薬レジメンの変更期間では 1,000 患者・日 あたり 1.68 であった。試験期間に MDR グラム陰性菌による感染症は発生しなかった。
結論
NICU においてアウトブレイクの状況が疑われる場合、MDR グラム陰性菌の発生を迅速に制御するために、選択圧を考慮して抗菌薬レジメンを変更することは、介入バンドルの一環として検討できるであろう。
監訳者コメント:
抗菌薬の選択圧・保菌圧の軽減の観点から、特定部署に問題となる多剤耐性菌が蔓延した場合は抗菌薬適正使用支援の観点から使用する抗菌薬の変更等が必要となる。腸管内に保菌される可能性のある細菌の場合は、抗菌薬療法後も微少に体内保菌しつづける可能性があり、こうした細菌を腸管内常在菌叢として定着させないことが重要である。
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