ナイジェリアの医療施設において分娩時に感染予防・制御ガイドラインを実行する際に職員が経験する障壁と機会
Barriers and opportunities experienced by staff when implementing infection prevention and control guidelines during labour and delivery in healthcare facilities in Nigeria
H. Buxton* , E. Flynn, O. Oluyinka, O. Cumming, J. Esteves Mills, T. Shiras, S. Sara, R. Dreibelbis
* London School of Hygiene and Tropical Medicine, UK
Journal of Hospital Infection (2019) 103, 428-434
背景
感染症は世界で新生児死亡の 15%および妊産婦死亡の 10 分の 1 を占める。新生児と妊産婦の死亡を減らすためには、感染予防・制御を目的とするエビデンスに基づく実践が不可欠である。
目的
ナイジェリアの 2 つの州にある 6 つの医療施設の産科病棟と分娩室において、感染予防・制御(IPC)ガイドラインを実行する際に職員が経験する障壁と機会を明らかにすること。
方法
重要なインフラと器具を評価するため、6 つの医療施設の産科病棟と分娩室において構造化した調査を行った。職員の慣行と品質保証の手順を評価するため、看護師長と共に調査を完了した。データは、施設職員との面談で得た質的データを用いてトライアンギュレーションを行った。
結果
6 施設すべての分娩室において使用に適した手洗い設備(水と機能的な蛇口、石けんが利用できる)が存在していたが、産後病棟では使用に適した手洗い設備が存在していたのは 1 棟のみであった。すべての施設は見かけ上は清潔で、職員はプロトコールに従う強い意志を示した。懸念される分野としては、トレーニングの有効性、個人防護具の供給が十分でないこと、手指衛生の実践が十分でないこと、再生可能な医療器具を再処理するための手順が最新ではないことが挙げられた。
結論
安全な分娩と産後ケアのためには、手指衛生のプロトコールと使い捨ての個人防護具の使用の包括的な遵守が必要である。財政的、設備的および人的資源の制約が、本研究に含まれる施設の分娩病棟における IPC の効果的な実行に対する障壁である。推奨される暫定的な措置には、トレーニング内容の伝達を体系化するために推進者を導入すること、施設レベルでモニターおよびフィードバックをすることが挙げられる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
ナイジェリアにおける分娩という環境下における感染対策遵守のバリアについて評価した論文である。Table にチェックリストが含まれており、日本でも産科・分娩領域での感染対策チェックリストとして使用できるのではないだろうか。
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