カンジダ血症患者における併存疾患の重症度に応じた中心静脈カテーテル抜去遅延の臨床的影響
Clinical impacts of delayed central venous catheter removal according to the severity of comorbidities in patients with candidaemia
Y-M. Lee* , D.Y. Kim, Y.J. Kim, K-H. Park, M.S. Lee
* Kyung Hee University Hospital, Republic of Korea
Journal of Hospital Infection (2019) 103, 420-427
背景
カンジダ血症患者の臨床転帰に対する中心静脈カテーテル(CVC)の早期抜去の影響は、依然として議論の余地がある。本研究では、カンジダ血症患者における併存疾患の重症度に応じて CVC 抜去遅延が死亡率に及ぼす影響を評価した。
方法
2010 年 1 月から 2017 年 12 月の間に 3 次病院 1 施設において、カンジダ血症患者を遡及的(レトロスペクティブ)に集計した。併存疾患の重症度は、低い(Charlson 併存疾患指数スコア≦ 3)または高い(Charlson 併存疾患指数スコア≧ 4)として分類した。カンジダ血症発症から 2 日を超えた後に CVC を抜去した例または CVC を抜去しなかった例を、CVC 抜去遅延例として分類した。
結果
カンジダ血症の発症から 2 日以内に死亡した 18 例は除外し、合計で 239 例のカンジダ血症患者が含まれた。このうち 149 例は Charlson 併存疾患指数スコアが低く、90 例は高かった。Charlson 併存疾患指数スコアが低い患者において、敗血症性ショック(補正オッズ比[aOR]9.5)および CVC 抜去遅延(aOR 4.7)は 30 日死亡率の上昇に有意に関連していたのに対して、カンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)感染(aOR 0.2)および脳血管疾患(aOR 0.3)は 30 日死亡率の低下に関連していた。Charlson 併存疾患指数スコアが高い患者において、敗血症性ショック(aOR 13.0)は 30 日死亡率の唯一のリスク因子であった。Charlson 併存疾患指数スコアが低い患者において、CVC 抜去遅延は 30 日死亡率の上昇に関連していたが(50.0%対 20.3%、P = 0.001)、Charlson 併存疾患指数スコアが高い患者においては関連はみられなかった(50.0%対 47.9%、P = 0.87)。
結論
CVC の早期抜去により Charlson 併存疾患指数スコアが低いカンジダ血症患者の生存を改善する可能性があるが、Charlson 併存疾患指数スコアが高いカンジダ血症患者ではそのような防御効果は明らかでなかった。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
カンジダ血症の治療において CVC 抜去は最も重要な要素の一つとされている。本論文の結論は、Charlson 併存疾患指数スコアが高い患者では CVC 早期抜去の生存改善効果が乏しかったということだが、もともとこの群の死亡率は47.8%と高かった。このような群ではそもそも生存に関連する要素は様々なものがあると考えられ、本研究のような後向き研究で、CVC 早期抜去が生存改善に結びつかないと結論づけるのは早計と思われる(無理して抜いてもそこまでメリットがないという考え方はできるかもしれないが)。
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