消毒薬の長期曝露が関連する微生物の抗菌薬耐性プロファイルに及ぼす影響:システマティックレビュー

2024.09.03

Effect of prolonged exposure to disinfectants in the antimicrobial resistance profile of relevant micro-organisms: a systematic review

Â.R. Fernandes*, A.G. Rodrigues, L. Cobrado
*University of Porto, Portugal

Journal of Hospital Infection (2024) 151, 45-59

背景

抗菌薬耐性(AMR)は世界的に重大な健康上の脅威であり、大部分は抗菌薬の不適切な使用に起因する。さらに、消毒薬の誤用も、耐性クローンの選択を引き起こす可能性があり、その場合、微生物は適応応答を起こし、耐性機構に進行する。殺生物剤の選択圧によって抗菌薬耐性が誘導されると、交差耐性が生じる可能性がある。

目的

消毒薬への反復的および/または長期的な曝露と、抗菌薬耐性プロファイルの適応との関連の可能性を確認する。

方法

このシステマティックレビューは、Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses(PRISMA)ガイドラインに従って実施した。2023 年 12 月までに公表された、消毒薬と抗菌薬の相互作用に関連した研究を対象とした。曝露の方法に基づいて、さらに選択を行った。

結果

選択した研究では、17 種類の消毒薬について「致死濃度以下の曝露」が検討されていた。大多数の消毒薬の作用機序は、細胞膜との相互作用に関与した。クロルヘキシジンが最も多く検討された消毒薬であった。

結論

連鎖球菌(Streptococcus)属菌、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、アシネトバクター・バウマニー(Acinetobacter baumannii)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、カンジダ(Candida)属菌を含むいくつかの菌種について、消毒薬の曝露に関連した適応現象が記録されており、抗菌薬に対する交差耐性の出現が確認された。消毒薬曝露に関連する変化は、抗菌薬の効果消失に関連する3つの決定因子であるバイオフィルム形成、コロニー形態および排出ポンプ活性にも影響を及ぼした。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

従来の研究では、消毒薬の不適切な使用が細菌や真菌の消毒薬耐性を引き起こすことが多く示されてきた。しかし、このシステマティックレビューでは、その影響が消毒薬にとどまらず、様々な機序を介して抗菌薬の耐性にも及ぶことが改めて示された。私たちは、消毒薬の適正使用の重要性を再認識し、その使用方法を見直す必要がある。

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