ハイブリッド手術室におけるイメージングのための天井設置型システムの使用が術中のコロニー形成単位値に及ぼす影響★

2019.09.29

Effect of using ceiling-mounted systems for imaging in hybrid operating rooms on the level of colony-forming units during surgery


A.A.L. Traversari*, S.P.M. van Heumen, A.W.J. Hoksbergen
*The Netherlands Organisation for Applied Scientific Research TNO, The Netherlands
Journal of Hospital Infection (2019) 103, e61-e67
背景
ハイブリッド手術室における大型イメージングシステムの使用が増加しつつある。しかし、こうした天井設置型システムが術中の空気の質に及ぼす影響については、これまで研究されていない。
目的
術中の手術創の近傍および器械台の近傍におけるコロニー数(cfu)/m3 を評価すること。
方法
4 病院のハイブリッド手術室4 室において測定を実施した。術中に、能動的スリットエアーサンプラーを用いて少なくとも 3 個のサンプルを採取した。その日の手術スケジュールの最後に、天井設置型システムの移動を含めたシミュレーションも実施した。平均コロニー数の基準は、術中については 10 cfu/m3 以下、個々のサンプルについては 30 cfu/m3 以下と設定した。
結果
手術創近傍の中央値は 1 cfu/m3、器械台では 2 cfu/m3 であった。しかし、ハイブリッド手術室の 1 室(手術 16 件中 2 件)では、器械台が一方向流型システムの直下に置かれておらず、器械台における平均コロニー数が基準を超えていた。この手術室における手術の 1 件では、個別サンプルの最大値も基準を超えていた。
結論
天井設置型イメージングシステムを一方向流型システムと組み合わせることで、手術野近傍および器械台における コロニー数が、術中の基準値とした 10 cfu/m3 を十分に下回るようにすることができる。器械台が一方向流型システムの直下に置かれていない場合、コロニー数は高くなる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
ハイブリッド手術室(HOR)は近年心臓血管外科、整形外科、脳神経外科などにおいて頻繁に利用されているが、術野の細菌汚染の程度の評価はこれまでなかった。術野空間の細菌汚染は術後感染症の一因となるため、清浄な空気が必要であり、一方向流性(UDF)の換気システムが必要となる。本論文では、3 × 4 m四方の UDF システムとの組み合わせで、10 cfu/m3 未満を確保できること、そし必ず UDF システムの直下に配置されることが重要であると結論している。「手術医療の実践ガイドライン 2018 年版」の第 13 章「手術部建築設備」には、HOR の設備条件が書かれてある。
http://jaom.kenkyuukai.jp/images/sys%5Cinformation%5C20181005141824-E4C70A57A1474FC1EFB70FE0707C7B22404DEB8D366192F32FD16509A9016B68.pdf

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